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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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侵攻半年、ロシアもウクライナも強気を維持 出口は見つかるか

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ロシアが強制編入したウクライナ南部クリミアのロシア軍施設で起きたとみられる爆発の煙=クリミア北部ジャンコイ周辺で2022年8月16日、ロイター
ロシアが強制編入したウクライナ南部クリミアのロシア軍施設で起きたとみられる爆発の煙=クリミア北部ジャンコイ周辺で2022年8月16日、ロイター

 ロシアが今年2月にウクライナ侵攻を始めてから24日で半年。プーチン政権が当初狙った早期制圧は失敗に終わり、戦況は泥沼化している。ロシア、ウクライナの双方が強気の姿勢を維持する中、今後、「出口」を見つけられるのか。

ロシア、当初投入部隊の半数失ったか

 「ロシアの指導部が設定した特別軍事作戦の目的は達成される」

 ロシアのショイグ国防相は8月16日、モスクワ郊外で開かれた国防省主催の国際会議で改めてウクライナ侵攻の目標を完遂することを強調した。一方でショイグ氏は北大西洋条約機構(NATO)が「キエフ(キーウ)の政権の断末魔を長引かせることを狙っている」と非難。ウクライナを軍事支援する西側諸国へのいら立ちもあらわにした。

 2月24日に隣国ウクライナへの「特別軍事作戦」に踏み切ったロシアのプーチン政権。それから半年が経過した今も政権幹部は強気の姿勢を崩していないが、当初掲げたウクライナの「非ナチ化」や非武装化、東部ドンバス地方(ドネツク、ルガンスク両州一帯)の解放などの目的は果たせないまま、戦闘は泥沼化の様相を見せている。

 ロシア軍は侵攻当初、首都キーウ周辺に部隊を送り込み、短期でウクライナのゼレンスキー政権を倒壊させるシナリオを描いていたとみられる。しかし、北部から南部までの長い前線に分散したロシア軍の補給や指揮は混乱し、ウクライナ軍の予想を上回る抵抗を前に損失は拡大。首都急襲は事実上の失敗に終わり、3月末にはキーウ周辺などからの撤収に追い込まれた。

 ロシア軍は4月以降、東部に戦力を集中させ、ドンバス地方の全面制圧に重点を置いたが、7月初めにルガンスク州の制圧を宣言して以降、進撃の速度は止まり、目立った成果を出せていない。火力ではロシア軍が上回るものの、米欧から長射程のロケット砲などを供与されたウクライナ軍はロシア軍の補給線や指揮拠点などを相次いで攻撃。前線への補給が困難になっているとみられる。

 火力を集中させてウクライナ軍の防御線の突破を狙うロシア軍の戦術は自軍の損失の拡大も招いている。…

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【ウクライナ侵攻】

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