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フィギュアスケートを楽しむ「Fun!フィギュア」。銀盤で輝きを放つスケーターが描く魅力あふれる世界を伝えます

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フィギュアの文化と「熱」伝えたい 漫画「メダリスト」作者

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フィギュアスケートを題材にした漫画「メダリスト」の主人公である結束いのりさん(左)と明浦路司コーチ=(c)つるまいかだ/講談社
フィギュアスケートを題材にした漫画「メダリスト」の主人公である結束いのりさん(左)と明浦路司コーチ=(c)つるまいかだ/講談社

 「次にくるマンガ大賞」を知っているだろうか。「ダ・ヴィンチ」と「ニコニコ」が主催し、ブレークしそうな漫画の発掘を目指して2014年に創設されたネットユーザー参加型のコンテストだ。

 8月31日に今年の投票結果が発表され、フィギュアスケートを題材とした「メダリスト」がコミックス部門1位に選ばれた。小学5年生の女子選手、結束(ゆいつか)いのりが、元アイスダンス選手の明浦路司(あけうらじつかさ)コーチとともにジュニア世代よりも下のカテゴリー「ノービス」から世界を目指す物語だ。

 現在、月刊アフタヌーン(講談社)で連載しており、細かなルールやジャンプの種類、難しさなどに触れつつ、主人公たちの感情を丁寧に描いている。作者のつるまいかださんに作品や競技への思いなどを聞いた。【聞き手・倉沢仁志】

「一緒に熱く」ノービス選手を描く

 ――なぜ、フィギュアスケートを題材に選んだのでしょうか。

 ◆フィギュアは、いろいろな人が見る競技。一方で、その裏側がほとんど知られていないのかなと興味が湧いて、調べ始めたのがきっかけです。フィギュアを通じて、人の心象の細やかなものを描いてみたいと思いました。

 ――トップ選手ではなく、ノービス世代にスポットライトを当てました。

 ◆フィギュアという「文化」を知りたいという気持ちが強かったからです。どういう経緯から競技を始めるのか、どういうところが難しいのか。自分でこのテーマを描くと決めてから、私もフィギュアを始め、骨折してしまったこともありました(笑い)。カーブするだけでも難しい。さらに回ったり、片足を上げながら進んだりするなんて本当に難易度が高い。

 スケート靴を履くというスタート地点を共有できれば競技の見方が変わるだろうし、フィギュアはおしゃれすぎて遠い世界だと思っている人も、一緒に熱くなってもらえるのではないかと考え、ノービスから描くことにしました。

 ■ノービス
 英語(novice)で初心者を意味し、フィギュアスケートではジュニア(13~18歳)の下の年代のカテゴリーを指す。日本では9~10歳の「ノービスB」と11~12歳の「ノービスA」に区分される。

 ――描写する際、どんなことを心掛けていますか。

 ◆対人競技と違ってフィギュアは相手がいません。その中で、どう熱く見せるかが大事だと思っています。選手になった気持ちを想像して描くことが多いです。

 ――スケートリンクなどへも積極的に足を運び、取材されています。

 ◆執筆の合間を縫って、平均して月に1回は取材しています。難しいのは、やはりルールです。「メダリスト」は、フィギュアのファンはもちろん、競技を知らない人にも読んでもらいたいという気持ちで描いています。採点競技が分か…

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