日本保有の22トンが英国で塩漬け 国内原発での再利用難航
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原子力発電所の運転に伴って生成される核物質「プルトニウム」を、日本が46トン保有していることが世界から懸念されている。核兵器の材料に転用できることから「余分なプルトニウムは持たない」という国際的な約束があるためだ。この46トンのうち22トンが10年以上も英国で保管されていることはあまり知られていない。22トンはなぜ英国にあるのだろうか。プルトニウムの現状から日本の核政策の矛盾が見えてくる。
原発はウラン燃料を燃やして発電している。燃やされた燃料(使用済み核燃料)に含まれているのがプルトニウムだ。燃やされた燃料を化学的に処理することで、プルトニウムは再び燃料として利用できる。日本は「プルサーマル発電」と呼ばれるこの燃料の再利用システムを構築しようとしてきたが、技術的な課題があまりにも多く、難航している。
国際原子力機関(IAEA)はわずか8キロのプルトニウムを核兵器1発分とみなしている。使用済み核燃料は強烈な放射性物質を帯びているため、これからプルトニウムを分離しない方が盗難や悪用を防ぐことができて安全だと言われるほどプルトニウムは厳重な管理が求められる。人間が吸入すると発がん性が極めて強く、この面からもやっかいな物質であることが分かる。
2022年2月、電力各社で作る「電気事業連合会」が22~24年度のプルトニウム利用計画を明らかにした。それによると、関西電力は高浜原発3、4号機(福井県)でプルトニウム0・7トンずつを新たに原子炉に入れて使うが、他の電力会社には利用する計画がないという。
そもそも、11年3月の福島第1原発事故以降、プルサーマルを実施できたのは高浜3、4号機、九州電力玄海原発3号機(佐賀県)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の4基だけだった。しかし玄海3号機は19年度に、伊方3号機は21年度に、それぞれ約0・2トンのプルトニウムを入れたのが最後となった。九電と四電がプルサーマルをできなくなってしまった理由は、燃料用に加工したプルトニウムの在庫が尽きたからだ。その原因は英国にあった。
データ捏造が迷走の始まり
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