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迷走プルトニウム

原発が生み出すプルトニウムの利用が難航しています。海外の最新事情を含め何が起きているのかを探ります。

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迷走プルトニウム

仏のMOX燃料工場で相次ぐ不良品 原発で異常核反応も

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船からクレーンで陸揚げされるMOX燃料の入った輸送容器。左端は関西電力高浜原発4号機の原子炉格納容器=福井県高浜町の高浜原発で2021年11月17日午後1時13分、大島秀利撮影
船からクレーンで陸揚げされるMOX燃料の入った輸送容器。左端は関西電力高浜原発4号機の原子炉格納容器=福井県高浜町の高浜原発で2021年11月17日午後1時13分、大島秀利撮影

 プルトニウムを原発で燃やすプルサーマル発電用の燃料を製造するフランス南東部の「メロックス工場」で、不良品が相次いで見つかっている。さらにプルサーマルを実施している原発で部分的に核反応が異常に増える現象も起き、二つの事態の複合は「異常事象」とされたことが、フランス原子力安全規制当局(ASN)などの資料で分かった。いったい何が起きているのだろうか。

 同工場は日本向けの燃料も製造している。日本向けでは今のところ問題は見つかっていないというが、製造は遅れており、今後の製品納入が見通せない状況に陥っている。

 プルトニウムは、原発の使用済み核燃料を化学処理(再処理)して取り出す。燃料にするには、プルサーマルを実施している加圧水型原発の場合ウランと混ぜて直径約8ミリの円筒形の粒「ペレット」に焼き固める。これをウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)と呼ぶ。プルサーマルを実施している加圧水型原発の場合、ペレット約320個を燃料棒の中に積み重ね、さらに燃料棒約260本を束ねて燃料集合体(高さ約4・1メートル)とする。

難易度の高い均一化

 プルトニウムとウランを均一に混ぜるのは難しい。プルトニウムの密度が高い部分があると、原発の運転中に部分的に高温になり、燃料を覆う管が変質してもろくなるおそれがあると指摘されている。ASNの資料などによると、メロックス工場で製造した燃料ペレットに、プルトニウムの密度の高い塊「プルトニウムスポット」が見つかった。

 一方、MOXの燃料棒の上下の端付近で、核反応を示す中性子の量が想定以上に増えてしまう現象が、プルサーマルを実施しているフランスの原発で確認された。

 ASNによると、このプルトニウムの塊の問題と、部分的に核反応が上昇する二つの異常が重なった場合「事故の状況によっては燃料の健全性に疑問を投げかける事態になる」と予測された。

 NPO原子力資料情報室(東京都中野区)で工学担当の上沢千尋さん(56)によると、懸念されるのは燃料が溶けたり、燃料を覆う管が破損したりする事態。「プルトニウムを燃料に使うと、核反応が局所的に上昇する可能性が指摘されてきた。それが顕在化した」と上沢さんはみている。

仏電力「異常事象」と判断

 原発を運転するフランス電力(EDF)が、初めて同種の事態を公表したのは2017年だった。この時は国際原子力・放射線事象評価尺…

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