日本電産、ソフトバンク…カリスマ経営者の後継が見つからない理由

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
株主総会後の記者会見で記者の質問に答える日本電産会長兼CEOの永守重信氏=京都市下京区で2022年6月17日午後0時5分、妹尾直道撮影
株主総会後の記者会見で記者の質問に答える日本電産会長兼CEOの永守重信氏=京都市下京区で2022年6月17日午後0時5分、妹尾直道撮影

 モーター大手の日本電産でまたもや後継者選びが白紙に戻った。ハードワークで知られ、積極的な企業の合併・買収(M&A)を手掛けた創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)の永守重信氏(78)は、一代で同社を日本有数の企業に育て上げた“カリスマ経営者”だ。同様にソフトバンクグループやユニクロを展開する「ファーストリテイリング」も後継候補がなかなか見つからない。企業経営に詳しい専門家に理由を聞いた。

 日本電産は2日、副会長の小部博志氏(73)が社長兼最高執行責任者(COO)に就任すると発表した。日産自動車出身で社長兼COOの関潤氏(61)は業績悪化の責任を取り、2日付で社長を辞任し、退社する。永守氏は記者会見で「外部にもっと良い人がいたというのは錯覚だった」と述べ、2024年4月に日本電産生え抜きの人材から新社長を登用する考えを示した。

 関氏は日産で副COOを務め、永守氏に招かれて20年1月に日本電産に入社。同年4月に社長、21年6月にCEOとなった。CEO交代の記者会見で永守氏は「即断即決やトップダウン能力、人格。どれをとっても後継者にふさわしい」と関氏を絶賛したが、わずか10カ月後の22年4月には永守氏がCEOに復帰した。

 日本電産では永守氏の後継を巡り、これまでも外部人材を招いてきたが定着しなかった。13年に日産子会社のカルソニックカンセイ(現マレリ)社長だった呉文精氏を社長含みで副社長に迎えたが、15年に退社した。シャープの社長、会長を務め、14年に日本電産副会長に就いた片山幹雄氏も後継候補と目されたが、21年に副社長を退任している。18年には日産出身の吉本浩之氏を社長に据えたが、20年に関氏に交代し、副社長に降格。昨年退任した。

創業者は「せっかち」

 後継候補が現れては消えていく原因について…

この記事は有料記事です。

残り1813文字(全文2570文字)

あわせて読みたい

ニュース特集