高すぎるMOX燃料 電力会社が口をつぐむその価格と経済性
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使用済み核燃料から分離したプルトニウムを日本の原発で再利用するため、燃料を加工してもらっているフランスの工場で不良品が続出している。日本の電力会社は「基準を満たしたMOX燃料だけを輸入している」と強調するが、プルトニウムを含む燃料の加工の難しさが改めて浮き彫りになっている。電力会社が明かさないそのコストにも大きく影響していそうだ。
プルトニウムは、ウラン燃料を原発で燃やすことで生じる。利用するには、まず使用済みウラン燃料を化学処理(再処理)してプルトニウムを分離する。加圧水型軽水炉用は、分離したプルトニウムとウランを混ぜて直径約8ミリの粒「ペレット」に焼き固める。これをウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)と呼ぶ。ペレット約320個を燃料棒の中に積み重ね、さらに燃料棒約260本を束ねて燃料集合体(高さ約4・1メートル)とする。
2021年11月17日午前、福井県高浜町の関西電力高浜原発の岸壁。地元や関西の市民が対岸で反対の声を上げる中、フランスで加工されたMOX燃料の集合体16体を積んだ船が到着した。関電の担当者は、ウラン燃料に比べての安全性について「問題ありません」と強調したが、記者の質問が燃料の価格に及ぶと「契約上の守秘義務があり、公表していません」と急に歯切れが悪くなった。
「ウラン燃料の8倍高い」
元米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)のトーマス・カントリーマン氏は18年10月の毎日新聞への寄稿で「ウラン燃料よりもMOX燃料は8倍高い」と経済的でないことを指摘している。実際これを裏付けるような記録がある。
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