かつお節削り器、世界へ 口コミで話題呼び、ジェトロ支援品に選出

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ジェトロの支援プロジェクトに選ばれたKANNA TIME=茨城県石岡市府中1の河津商店で2022年8月30日午後2時18分、宮崎隆撮影 拡大
ジェトロの支援プロジェクトに選ばれたKANNA TIME=茨城県石岡市府中1の河津商店で2022年8月30日午後2時18分、宮崎隆撮影

石岡の夫婦考案

 茨城県石岡市府中の老舗かつお節販売店・河津商店が発売したかつお節削り器セット「KANNA TIME(カンナ タイム)」が、日本貿易振興機構(ジェトロ)の工芸品輸出支援プロジェクトの商品に選ばれた。3代目店主の川津英之さん(56)夫婦が「日本の食卓の伝統の味を残したい」と工夫を凝らした一品が海外に羽ばたく。【宮崎隆】

 KANNA TIMEは、新潟の専門業者が製造した専用鉋(かんな)に、かつお節が小さくなっても削りやすさを保つための押さえ木、刃を調整する木づちと掃除用ブラシのセットで、税込み3万3000円。

 ケースは地元石岡の工芸店に依頼した高級感のある桐箱を使用して高い保湿性を実現。押さえ木も滑り止めのシリコンを埋め込むなど細部にこだわった。付属のかつお節は、鹿児島・枕崎産の「本枯節(ほんかれぶし)」。カビを付着させて水分を飛ばし、うまみが凝縮されているのが特徴だ。

店主の川津英之さんと妻の留美さん。店頭には家庭向け商品が並ぶ=茨城県石岡市府中1の河津商店で2022年8月30日午後2時11分、宮崎隆撮影 拡大
店主の川津英之さんと妻の留美さん。店頭には家庭向け商品が並ぶ=茨城県石岡市府中1の河津商店で2022年8月30日午後2時11分、宮崎隆撮影

 河津商店は1938年創業。米屋としてスタートしたものの、太平洋戦争中の配給制度を受けてかつお節専門店となった。主にそば屋や日本料理店などを相手に業務用での販売を手がけてきたが、経営を引き継いだ川津さんが「一般家庭でも出汁(だし)に親しんでほしい」と、店頭での販売にも力を入れるようになった。

 使いやすい削り節やパックをそろえ、麺とつゆをセットしたそばなどの新商品も発売して出汁の魅力をアピール。川津さんと共に店を切り盛りする妻の留美さん(53)は地域の子育て教室で、化学調味料と取り立ての出汁の味を比べる「利き出汁」講座を開くなど、食育にも力を入れる。留美さんは「昔はどこの家でも鉋があった。自分たちが親に習ったことを、若い世代にも伝えたい」と話す。

 KANNA TIMEを考案したのも、夫婦のそんな思いからだ。今年4月に発売すると口コミで話題を呼び、7月にジェトロが工芸品などの海外輸出を支援する「TAKUMI NEXT 2022」に選出された。川津さん自身も国際見本市を訪れるなどして、海外での販路拡大も目指すという。

 「出汁は嗜好(しこう)品ではなくて日常品」と言う川津さん夫婦。今後も、その魅力を発信していく。

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