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第7波にあらがい切れず、8月初旬に新型コロナウイルスに感染。10日間、自宅で療養しました。高熱などダメージが大きく、私としては回復に必要と感じる期間でしたが、症状は個人差が大きく、感じ方は人それぞれかもしれません。政府は近々、療養期間の短縮を打ち出す見通しです。あなたはどう考えますか。【くらし医療部・横田愛】
肩透かしを食ったな――。それが療養から明けた8月31日の岸田文雄首相の記者会見を聞いた正直な感想だ。
この会見には注目していた。コロナにかかった体験談を聞きたかったのではない。7月下旬、政府は濃厚接触者の待機期間を「原則7日」から「原則5日、最短3日」に短縮する方針を決めた。この時の手順や説明の仕方は明らかに失敗だった、と私は思っている。失敗を糧とするのか、あるいは同じことを繰り返すのか。それを見極めたかった。
首相官邸の記者会見場に現れた首相は何を語ったか。社会を平時に戻していくウィズコロナの全体像は「おおむね固まった」としたが、第7波対応を優先するとして、その内容を明らかにしなかった。1週間前にオンライン取材で、陽性者の療養期間の短縮などを含めた全体像を「速やかに示す」と予告していたにもかかわらずだ。
今は症状があれば10日間、無症状でも7日の隔離を強いられる療養期間。これが短縮されるとなれば、国民生活に大きな影響がある。ネット上では、歓迎の一方で「感染リスクを広げることにならないか」といった声も上がっていた。だが、31日の記者会見では「ゼロ回答」で、疑問は宙に浮いたままだ。
振り返れば7月下旬の濃厚接触者の待機期間短縮の際も、厚生労働省の説明は腑(ふ)に落ちなかった。どのようなデータと計算に基づき「最短3日」という結論に至ったのか。早期解除で感染拡大のリスクはどの程度残るのか。そうした点について、担当者は「公表されていないデータも使っている」など言葉を濁し続けた。
政府方針の決定後、感染症の専門家たちは「リスクが十分市民に伝わっていない」と苦言を呈した。社会的にも「3日間で待機解除」はスタンダードとはなっていない。
なぜ、お粗末な展開となるのか。…
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