この異常気象、地球温暖化のせい? 深刻さ数値化、問題を身近に
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6月下旬~7月初めに日本各地で観測された記録的な高温は、人間活動が原因の地球温暖化によって発生確率が240倍に高まっていたとの分析結果を、気象庁気象研究所などの研究チームが6日発表した。
日本各地で記録的な猛暑が続いていた7月初旬。気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の今田由紀子・主任研究官は、スーパーコンピューターで地球の気候を精緻に再現したモデルを使った実験に着手した。「この暑さは地球温暖化の影響か」という問いに答えるためだ。
温暖化が進むと、「数十年に1度」しか起こらないような熱波や大雨などの異常気象はさらに激甚化し、発生頻度も高まる。ただし、一つ一つの異常気象について「温暖化のせいで起こった」と言い切ることはできない。温暖化していなくても、気象の不規則な変動によって、極端な現象は自然に生じうるからだ。
だが、科学の進展で、ある時ある場所で起きた特定の異常気象にどれほど温暖化が影響していたか、定量的に説明することが可能になってきた。それが「イベント・アトリビューション」(EA)と呼ばれる手法だ。「気象現象の要因分析」などと訳される。
「大量のパラレルワールド(並行世界)を使う研究だ」。今田さんは、EAをそう例える。この場合のパラレルワールドとは、温暖化が起こっていない架空の地球を指す。
本物の地球では、人間が石炭などの化石燃料を大量に消費して、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を排出したことで、産業革命前(18世紀)から1・1度近く平均気温が上がった。EAでは、現実と同じ温暖化した地球100個をスパコンで再現し、同じ大気の条件で今回のような熱波が偶発的に起きた回数を数える。さらに温暖化していない地球も100個作り、同様のシミュレーションを繰り返す。これら2種類の地球のシミュレーション結果を比べることで、温暖化によって猛暑や大雨の発生確率がどの程度変わったかを推定する。
今田さんが今夏の猛暑を対象にスパコンで計算を始めてわずか2週間。導かれた結果は衝撃的だった。
6月下旬から7月初めにかけて日本で続いた猛暑は…
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