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高橋智史が撮る故郷・秋田

「第38回土門拳賞」受賞者のフォトジャーナリスト・高橋智史氏が撮影した、故郷・秋田をテーマにした作品を紹介します。

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高橋智史が撮る故郷・秋田

受け継がれしものたち 美郷・鐘馗様 稲わらの神 /秋田

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疫病退散、集落安寧の願いが込められた本堂城回地区の「鐘馗様」=秋田県美郷町で2022年6月撮影
疫病退散、集落安寧の願いが込められた本堂城回地区の「鐘馗様」=秋田県美郷町で2022年6月撮影

 秋田県美郷町の県指定史跡「本堂城跡」。その一角にそびえ立つ樹齢500年以上と伝わるケヤキの大木の根元に、本堂城回地区の守り神である「鐘馗(しょうき)様」が祭られている。鐘馗様は、疫病を退治する厄よけの神として中国で古くから信仰され、日本に伝来したのち、各地の文化に融合していった。同地区の鐘馗様は身の丈約3メートル。県内有数の米どころであり、「わら文化」が残る美郷町。町の特色を表すかのように、稲わらで作られた堂々たる体躯(たいく)は、見る者を圧倒する。時代の変遷により、鐘馗様作りが途絶えてしまった場所もある。同地区では中断の時期を乗り越えて、人々の意志が再びつながり、制作が続いている。

 鐘馗様との対面から数日後、1年に1度の作り替えの行事が行われた。有志が集い、わらの束を丁寧に組み合わせていく。前年の鐘馗様はその場で「おたき上げ」を行い、天に返すのが習わしだ。20年以上、行事に携わる進藤敏美さん(75)は「先輩から受け継いだ大切な伝統文化を健康が許す限り継続したい」と前を向く。開始から3時間後、新たな鐘馗様が完成し、参加者は祈りをささげた。

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