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整備進む「経済安保」、増す懸念 免罪符にせず議論を=平塚裕介(東京経済部)

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駐機中の空母艦載機=山口県岩国市の米軍岩国基地で2019年1月12日、大山典男撮影
駐機中の空母艦載機=山口県岩国市の米軍岩国基地で2019年1月12日、大山典男撮影

 暮らしやビジネスの存続に不可欠な重要物資の安定確保などを目指す「経済安全保障」という言葉をご存じだろうか? 岸田文雄首相が2021年の就任直後から重視してきた政策で、5月には関連法が成立。8月には法の一部が施行されるなど国の体制整備が急速に進んでいる。

 岸田氏は「世界が戦略的物資の確保や重要技術の獲得にしのぎを削る中、日本も抜本強化が重要だ」と必要性を訴えるが、懸念の声やさまざまな問題を棚上げにしたまま「安全保障」を錦の御旗(みはた)に、なし崩し的に事を進める姿勢には、強い危機感を感じずにはいられない。

 安全保障は元々、国の領土や国民の財産を守る軍事的な側面から語られることが多かった。しかし、中国経済の急成長やロシアのウクライナ侵攻などに伴い、エネルギー調達、知的財産権の保護といった経済的な側面でも国家間の対立が激化している。経済的な他国の脅威にどう対抗するか。その発想から生まれた概念が経済安保だ。

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