エネルギー高騰に揺れる欧州 対応苦慮する“物価の番人”

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自宅屋根裏に設置したガスボイラーの前に立つフランク・ウルブリヒトさん。ガス価格の高騰に苦慮している=ベルリン北郊シュワンテで(本人提供)
自宅屋根裏に設置したガスボイラーの前に立つフランク・ウルブリヒトさん。ガス価格の高騰に苦慮している=ベルリン北郊シュワンテで(本人提供)

 エネルギー価格の高騰が欧州を悩ませている。ガス不足が懸念されるドイツでは、暖房需要期の冬を前に、まきストーブを設置してしのごうとする家庭さえ出てきている。「物価の番人」の欧州中央銀行(ECB)はインフレ(物価上昇)対策に躍起で、0・75%の大幅な利上げに踏み切ったが、手詰まり感も強まっている。揺れる現場を取材した。

ガス価格が高騰、自宅にまきストーブ設置

 「我が家の暖房・給湯設備は最も効率がよく、安価でクリーンなはずでした」

 ベルリン北郊シュワンテ。警察官のフランク・ウルブリヒトさん(58)が、この半年間の激変を振り返る。暖房、給湯などすべてをガスでまかなう戸建て住宅での暮らしは、ロシアによるウクライナ侵攻で一変した。

 ロシアはドイツと結ぶ天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」の供給量を絞り、8月末から供給を停止している。一般家庭のガス料金は前年同期比で3倍近くに跳ね上がった。

 ウルブリヒトさんは、ガス代節約のため、自宅に暖房用のまきストーブを設置することを決め、煙突の取り付け工事の準備を進めている。独メディアによると、同様の家庭が国内で急増し、まき…

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