1カ月に15万円課金 低年齢化するスマホ依存 兵庫県が特命チーム

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8月にあった県のオフラインキャンプでカヌーをする子どもたち=県提供 拡大
8月にあった県のオフラインキャンプでカヌーをする子どもたち=県提供

 「子どもがスマートフォンから離れない」と心配する親の相談が、小学校低学年からも寄せられている。物が二重に見え、夜眠れずに体調を崩すこととの因果関係も指摘され、兵庫県はスマホ利用の特命チームをつくった。

 神戸市の心療内科「幸地クリニック」には新学期を控えた8月末になると、スマホ依存の相談が増える。精神保健福祉士の中元康雄さん(48)によると、小学校低学年の児童が1カ月間でゲームに15万円の課金をし、気づいた親が使用を制限すると大声で反発されたケースがあった。

子どもを取り巻くインターネット事情について語る中元康雄さん=神戸市で2022年8月30日午後8時21分、井上元宏撮影 拡大
子どもを取り巻くインターネット事情について語る中元康雄さん=神戸市で2022年8月30日午後8時21分、井上元宏撮影

 県は2021年7月、小学1年~高校3年の9301人にアンケート。小1~3では24・6%がスマホを持ち、1割が3時間以上インターネットを利用していると回答した。小4~6の2・2%はゲームで5万円以上の課金をしていた。中元さんは「低学年から家族でネット利用のルール作りを話し合う機会をつくり、一緒に家事や遊ぶ時間を増やすことが大切です」と話す。

学校なじめず「憂さ晴らし」

 中高校生では成績不振や学校生活になじめず、「憂さ晴らし」でスマホに依存しがちという。「親に心配をかけてしまう」として、登校しようとするも体が動かず昼夜逆転でゲームをする生徒もいる。中元さんは「悩みやイライラを表現する言葉が見つからないまま、親から『どうして』『なんで』と詰問されて抱え込んでしまっている」と分析する。

インターネット依存傾向にある子どもの割合 拡大
インターネット依存傾向にある子どもの割合

 中元さんは、ネットへの依存傾向がある子どもたちと離島の自然体験施設でカヌーや釣りなどをする県のオフラインキャンプ事業にもアドバイザーとして参加する。「大人からコミュニケーションを取り、ネット以外の楽しみ方があると伝えてほしい。食事に誘うなどで一時的に子どもをスマホから離したタイミングで話しかけるのもいいかもしれません」と話す。

6年間で傾向2倍

 依存は自分でコントロールできずにやめられない状態だ。世界保健機関(WHO)は「ゲーム障害」というオンラインゲームの依存症の診断基準を設けた。県のアンケートでは、ネット利用の時間短縮を試みると「イライラする」など依存傾向のある小5~高3の割合は21年で12%となり、15年の2倍となった。高校生では減ったが、小中学生は増えている。

 県は8月、適切なスマホ利用策を検討する特命チームをつくった。初会合では専門家が、睡眠障害で受診する子どもはスマホの利用時間が長いことや、物が二重に見える複視(ふくし)がおきる急性内斜視との因果関係を指摘。県立ひょうごこころの医療センターの田中究院長(児童精神科)は「ネット依存の前に、発達障害や学校不適応などの背景を理解しなければいけない」と強調した。県は医学的な知見を集め、23年2月に新しい啓発策などを打ち出す方針だ。【井上元宏】

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