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第81期名人戦

第81期名人戦は、渡辺明名人は4連覇を懸け、藤井聡太王将は名人獲得の最年少記録更新を懸けた戦いに。解説付き棋譜中継は「七番勝負棋譜速報」からご覧いただけます。

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藤井王将破った菅井八段 勝負決めた2人前の弁当と「軽さ」

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終局後、菅井竜也八段(右)と感想戦に臨む藤井聡太王将=名古屋市で2022年8月11日午前0時22分、岩下幸一郎撮影
終局後、菅井竜也八段(右)と感想戦に臨む藤井聡太王将=名古屋市で2022年8月11日午前0時22分、岩下幸一郎撮影

 「最年少名人」奪取を懸けて戦う藤井聡太王将(対局時1勝)が、菅井竜也八段(同1敗)と名古屋将棋対局場で盤をはさんだA級順位戦2回戦最終局。先攻した藤井王将に、昼食弁当を2人分平らげた菅井八段が華麗なカウンターを決め、振り飛車のスペシャリストらしい「軽さ」で勝負を決めた。未明にまで及んだ激戦を上地隆蔵さんの観戦記で振り返る。

第1譜(1~25)

 ▲7六歩   △8四歩   ▲5六歩1  △3四歩

 ▲5五歩1  △6二銀   ▲5八飛1  △4二玉

 ▲4八玉1  △3二玉   ▲3八玉   △4二銀3

 ▲2八玉   △8五歩1  ▲7七角   △7四歩

 ▲6八銀4  △7三銀   ▲6六歩3  △1四歩9

 ▲6七銀2 ▽△1五歩7  ▲3八銀2  △5二金右11

 ▲4六歩5(図1)

(持ち時間各6時間 消費▲20分△31分)

※▽作戦

真打ち登場

 A級2回戦最後の▲菅井竜也八段―△藤井聡太王将戦は8月10日、愛知県・名古屋将棋対局場の「ミッドランドスクエア」で行われた。

 駅前の一等地にそびえ立つ超高層ビル。汗を拭きながら、しげしげ見上げていると、気が遠のく思いだった。勝手知ったる東京や関西の将棋会館とは違い、対局室にたどり着くまで一苦労。案内所で尋ね、宇宙ステーションのような透過式のエレベーターに乗り、ガードマンの身元チェックを受ける。すでにワイシャツはびしょびしょだ。無事その先に通され、なじみの関係者の顔を確認して一安心した。

 この日は本局のみ。新設された対局室は約85畳、最大7局まで可能という。席に着くと、イグサの匂いがした。記録係は伊藤巧4級(杉本昌隆八段門)。聞くと、比較的実家が近いらしい。「修業のため、現在大阪で一人暮らしですが、今回記録のため、前日実家で泊まり。おかげで朝は時間的余裕がありました」

 菅井が姿を見せた。開始前から近付きがたい雰囲気を発していた。萎縮したのか、あいさつをする中継スタッフが思わず早口になっていた。

 しばらくして、真打ちの藤井が登場した。畳のきしむ音がした。スーパールーキーが、今やタイトルを五つ保持する将棋界の至宝。生の藤井を見るのは久々だった。

第2譜(26~3…

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【第81期名人戦】

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