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「『自分らしく生きていいんだ』という気持ちを持ってほしい。だれもがそう思える社会を目指したい」。女性の体で生まれ、男性の心を持つトランスジェンダーの佐藤みどりさん(34)=松江市=は子どもの頃から心と体の性の不一致に悩んできた。今春、警察官を退職し、モデルとしての活動の傍ら、LGBTなど性的少数者らが集うオンライン交流会を開いたり、相談に応じたりしている。何が佐藤さんの背中を押したのか。
佐藤さんが主宰するオンライン交流会は、前向きな変化を求める人の背中を押すことを大切にする。参加者が数人のグループに分かれて自分の長所を発表して互いにほめ合う「褒め活」。LGBTの人も、そうでない人も参加してテーマを定めずに話し合うフリートーク。佐藤さんは会の趣旨を説明した後は特段、場を仕切ったりすることはせず、話の流れに任せている。
佐藤さん自身、仲間とのつながりに救われた一人だ。大学生の時、東京で「体の性が女性」限定の性的少数者の交流会に参加した。地元の島根では同じ境遇の人に出会ったことがなかっただけに、「扉を開けた時、仲間が大勢いるということに感動した。安心感が得られた」という。「その時に味わった喜びを同じ悩みを抱える多くの人と共有したいとずっと考えていた」と話す。
職場の飲み会、退職の引き金
小学生の頃から居心地の悪さを感じてきた。スカートをはくなど「女の子らしく」することに抵抗を感じ、女性に好意を持った。友達から「女が好きなの?」と言われることもあったが、「そんなことはないよ」と笑ってごまかした。LGBTという言葉が一般的ではなかった当時、本当の自分を隠しながら生きてきた。
大学卒業後は安定性を重視し、2011年、警察官の道に進んだ。仕事にはやりがいを感じていたが、本当の自分の居場所を見つけることは難しかった。職場では、「女性らしくしろ」「結婚して出産して家庭を持つことが幸せだぞ」と心ない言葉をぶつけられた。
職場を去る決断をしたのは、飲み会で…
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