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国連平和維持活動(PKO)に参加し、内戦状態のアフリカ・南スーダンで活動した陸上自衛隊の部隊を率いた田中仁朗(よしろう)さん(52)=現・教育訓練研究本部訓練評価部長=が9月、毎日新聞の取材に応じ、海外派遣の実態や自衛隊にとっての意義を語った。田中さんらを最後に部隊規模でのPKO派遣はこの5年、実施されていない。PKO協力法に基づき、自衛隊部隊が最初の派遣地・カンボジアへ出発してから17日で30年。自衛隊による国際貢献のあり方は、これまでの蓄積を生かした形に変化しつつある。
「武器使用」も想定
田中さんらの陸自第11次隊(約350人)は青森を拠点とする第9師団を中心に編成。2016年11月から約半年、南スーダンに派遣され、自衛隊として初めて「駆けつけ警護」の任務が与えられた。
駆けつけ警護は、武装勢力の襲撃を受けた国連や非政府組織(NGO)の職員らを自衛隊部隊が助けに向かう任務で、武器を使って対象者を保護する。従来は「憲法9条が禁じる武力行使につながる恐れがある」として認められていなかったが、16年に安全保障関連法が施行され、任務として部隊に与えることが可能となった。
南スーダンの首都ジュバでは11次隊到着前の16年7月、政府軍と反政府勢力の間で大規模な戦闘があり、巻き込まれた中国軍のPKO要員2人が亡くなった。
そうした情勢の中、駆けつけ警護を実行することになれば、任務を妨害する者に対して威嚇や警告射撃をする必要が生じることも想定された。11次隊の主な活動は道路や施設の補修・整備だったが、駆けつけ警護に対応する隊員は自動小銃を携行し、鉄帽や防弾チョッキを装備した。
田中さんは当時、「武器使用を伴う任務は、実際の場面に直面してから考えていたのでは間に合わない。何度も訓練して体に覚え込ませる必要がある」と考えた。派遣数カ月前から訓練し、現地でも警察施設を借りて実弾射撃や動作確認を繰り返した。
現地では銃声も
実際、派遣された当初は「夜間に銃声が聞こえることもあった」(田中さん)。…
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