- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

決して怖がらせたり、隠したりはしない。いつもエネルギッシュに、正直に、性について語る。だから暗さやいやらしさは感じない。全国の学校で年間160回もの講演をこなす「サッコ先生」に迫った。【国本愛】
セーフティーネットとしての性教育
性教育が避けられてきた学校現場で「セーフティーネット」としての役割を果たしてきたのが、外部講師による出前授業だ。若者の予期せぬ妊娠などを目の当たりにし、性教育に取り組む医療従事者は少なくない。「サッコ先生」の愛称で親しまれ、15年前から小中学校や高校で講演を続ける埼玉医科大の産婦人科医、高橋幸子さん(47)もその一人だ。
「性には生殖の性、快楽の性、暴力・搾取の性という、三つの種類があります」。東京都立桐ケ丘高校(北区)で7月、高橋さんは体育館に集まった生徒約100人に笑顔で語りかけた。
生徒の目線で語る
「『テクノブレイク』というネットスラング(ネット上の俗語)があるけど、あれはうそです」。男子生徒たちに笑いが広がる。「テクノブレイク」とは過度な自慰行為による突然死を指す言葉だが、高橋さんは「これまで病院で一例も聞いたことがありません」と強調し、ネットやアダルトビデオに不正確な情報があふれていることを伝える。
子宮頸(けい)がんを予防するためのワクチン接種や検診の大切さを呼びかけるときには、10年前に知ったある少女の体験を紹介した。
少女は17歳のときに、生理時以外の「不正出血」があって受診したところ、子宮頸がんと判明した。だが、性的接触によるウイルス感染が原因とされるだけに、親に相談できずに悩んでいた。その後、何とか親に打ち明けて病院に付き添ってもらい、手術で命は助かった。だが、大人になってから、交際相手に「子宮をとったため子どもが産めない」と伝えられずに悩んでいるという。
「自分に引きつけて学んでほしい」。包み隠さず、生徒の目線で語る。そんな姿に身を乗り出して講演に耳を傾ける生徒もいた。
講演の最後には、自身が長男を出産した時の様子を収めたビデオを上映し…
この記事は有料記事です。
残り3046文字(全文3902文字)