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堀江敏幸・評 『伽羅を焚く』=竹西寛子・著

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 ◆伽羅を焚(た)く

 (青土社・2420円)

わき上がる世の濁り見つめ直す勇気

 月刊詩誌『ユリイカ』で「耳目抄」と題された竹西寛子の随想の連載がはじまったのは、一九七九年一月号。本書は第三〇一回(二〇一一年七月号)から第三三八回(二〇一六年八月号)までを収めるシリーズ十一冊目にあたる。あとがきによれば最後になるというこの一冊は、これまでで最も重い調べを奏でるものとなった。

 不定期の休載があるものの、章ごとに掲載号が明記されているので、書かれた時期を正確に把握できる。震災、津波、原発事故、政権交代以後に顕著になった為政者における「言葉」の著しい劣化と、その劣化した言葉を体現する、強引で他者の言に耳を傾けない政治の現場に対する戸惑いと不安、というより、抑えに抑えた怒りに近い感情が、行間からにじみでてくる。

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