チャールズ新国王、「英国の一体性」演出に腐心 王室離れに危機感
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エリザベス女王が死去した8日から国葬の19日までの間、王室は新国王チャールズ3世を国民に「お披露目」する機会と位置付け、国王は服喪期間中も英国各地を飛び回った。英国は57年ぶりとなる国葬の日をどう迎えたのか。
連合王国ならではの複雑な感情
女王死去に伴い新国王となったチャールズ3世は、即位後すぐに英国各地を訪問した。王室が重視したのは、「英国の一体性」を国民に再確認してもらうことだったとみられる。
英国は元々は別の国だったイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドから成る「連合王国」だが、スコットランドでは現在も独立を目指す動きがある。さらに北アイルランドでは、英国統治継続を望むプロテスタント住民と隣国アイルランドへの併合を願うカトリック住民の間で30年にわたって北アイルランド紛争(1968~98年)が続いた過去もある。実際、チャールズ国王の大叔父であるマウントバッテン卿は79年、カトリックの過激派組織・アイルランド共和軍(IRA)に爆殺されており、大叔父を強く慕っていた国王にとって北アイルランドは複雑な感情を抱く地だ。
だが13日に北アイルランドを訪れた国王は、女王が北アイルランドにおける和解に取り組んだ姿勢を自分も受け継ぐと宣言し、「私は北アイルランドのすべての住民の福祉を追求することを決意し、新しい職務に就く」と訴えた。IRAの元政治部門で現在は北アイルランド議会の第1党となったシン・フェイン党のオニール副党首はこれに先立つ9日、「修復しなければならない橋はあるが、国王と協力していくことを楽しみにしている」と述べ、国王と連携する意思を示した。新聞各紙は「シン・フェイン党が国王に弔意」「国王、いやし続ける決意」などと写真入りで大きく報じた。
ただ、英王室評論家のリチャード・フィッツウィリアムズ氏は「北アイルランドの住民感情が大きく変わったわけではなく、(英国による統治…
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