特集

円安と物価高

日本の物価が上がり始めました。円安・ドル高もコスト上昇に拍車をかけ、商品・サービスの値上げラッシュが続いています。

特集一覧

24年ぶりの為替介入踏み切った日銀 市場は「効果一時的」の見方も

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
一時、1ドル=145円台後半となった円相場を示すモニター=東京都港区の外為どっとコムで2022年9月22日午後4時5分、北山夏帆撮影 拡大
一時、1ドル=145円台後半となった円相場を示すモニター=東京都港区の外為どっとコムで2022年9月22日午後4時5分、北山夏帆撮影

 政府・日銀は22日午後、急激な円安に歯止めをかけるため外国為替市場で円買い・ドル売りの為替介入を実施した。円安局面での円買い・ドル売りの介入は、1ドル=140円台となった1998年6月以来、約24年ぶりとなる。21、22日に連続した日米中央銀行の金融政策を決める会合で政策の方向性の違いが鮮明となり、金利差が拡大するとの思惑が市場で拡大。円を売り、運用に有利なドルを買う動きが加速して98年8月以来24年ぶりに円相場が1ドル=145円台後半に急落したことを受け、介入に踏み切った。

 円売りを含めると、介入は1ドル=75円台の戦後最高値を記録した際に円売り・ドル買いをした2011年11月以来、約11年ぶり。

 財務省の神田真人財務官が22日午後5時15分ごろ、記者団に明らかにした。続いて記者会見した鈴木俊一財務相は「為替市場では投機的な動きも背景に、急速で一方的な動きがみられた。投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごせることではない」と介入を実施した理由を説明した。また、「引き続き高い緊張感を持って注視し、過度な変動には必要な対応を取る」と追加介入の可能性も示唆した。

 為替介入では米ドルなど外貨の売買が必要になるため、相手国(米ドルなら米国)の通貨当局との意思疎通が必要となる。

 鈴木氏は会見で、日本の単独介入かどうかは明らかにせず、米国の了解を得たかについても「各国のコメントは控えたい」と述べるにとどめた。

円相場の推移 拡大
円相場の推移

 円買い・ドル売り介入の原資となる政府の外国為替資金特別会計の残高は約1・3兆ドル(8月末時点)で、介入には限度がある。鈴木氏は介入の規模などについて「手の内をさらすようなことは申し上げないのが常識だ」と言及を避けた。

 政府による為替介入が伝わると円相場は5円程度上昇し、一時1ドル=140円台を付けた。

 だが、市場では為替介入の効果は一時的との見方が根強い。それは、急激な円安の背景に日米の金融政策の方向性の違いがあるためだ。

 米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は21日(日本時間22日未明)まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、記録的なインフレ(物価上昇)を抑制するため3会合連続で政策金利を0・75%引き上げると決めた。

 一方、日銀は22日の金融政策決定会合で、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた景気を下支えするため、マイナス金利政策などの大規模金融緩和政策を維持すると決めた。

 22日には、スイス国立銀行(中央銀行)も政策金利をマイナス0・25%から0・75%引き上げ0・5%にすると発表。15年から導入していたマイナス金利政策の解除で、これでマイナス金利を続ける主要中銀は日銀だけとなる。英中央銀行イングランド銀行も同日、7会合連続で利上げを決め、主要政策金利を0・5%引き上げ年2・25%にすると発表した。

 欧米に加えインフレや自国通貨安に見舞われる新興国も利上げに転じており、円が売られやすい状況は変わらないとみられる。

 円相場の年初からの下落幅は約30円で、下落率も73年に変動相場制に移行してから過去最大となっている。

 円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、輸入コスト上昇を通じて家計を圧迫するほか、輸入原料を使うメーカーなどの業績を下押しする。そのため、急ピッチで進む円安に経済界などからも影響を懸念する声が出ていた。【松倉佑輔、松山文音、岡大介】

【円安と物価高】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集