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「廃線=悪」の発想のままでいい? ローカル線見直しの是非

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中村智彦・神戸国際大教授=本人提供
中村智彦・神戸国際大教授=本人提供

 鉄道開業150年を迎える中、ローカル線を見直す議論が始まろうとしている。国土交通省の有識者会議が7月、見直し基準をまとめたのに続き、JR東日本が初めて収支を公表した。廃線が広がる可能性もあるが、地域経済に詳しい中村智彦・神戸国際大教授は「『鉄道があれば発展する』という発想を転換すべきではないか」と指摘し、「廃線=悪」の思考停止から抜け出さなければ未来はないと訴える。【聞き手・宇田川恵/オピニオングループ】

問題にフタをしてきただけ

 ――ローカル線を見直そうという動きが出てきた背景をどう見ますか。

 ◆直接的なきっかけは、新型コロナウイルス禍で乗客が激減し、鉄道各社の経営が一気に悪化したことです。しかし、ローカル線の問題はいずれ正面から向き合わなければいけないと、鉄道会社も国も自治体も分かっていました。ただ、こんな急に状況が悪くなるとは誰も予想していなかった。コロナ禍が起きた直後、鉄道大手の幹部が「10年ぐらい時間が早まった」と話していたのが印象的でした。

 ――コロナ禍の前から状況は厳しかったのですね。

 ◆特に地方では人口減少に歯止めがかからず、鉄道各社の経営は悪化していました。一方で鉄道を維持するには通常の運営費に加え、橋やトンネルの改修に巨額の費用が必要です。地方では明治時代に建設された橋やトンネルがまだ多数残っており、大規模な水害などで壊れるケースも出ています。採算が取れない鉄道を維持していくには今後、どれだけ金がかかり、赤字が膨らむのか見当もつきません。

 自治体などが出資する第三セクター鉄道ではさらに問題は深刻です。第三セクターは1987年の旧国鉄の分割民営化に伴って各地で設立され、30年以上たつ今、車両の老朽化に直面しています。車両は1両で数億円もかかります。地方財政はどこも厳しいのに、どうやって負担するのか。多くの地方路線は事実上、ゲームオーバー寸前のところまできている。鉄道関係者らは今まで、こうした問題にフタをして、見ないようにしてきただけなのです。

「鉄道があれば発展する」は本当か

 ――なぜ、見ないようにしてきたのでしょう。

 ◆大きな理由は「廃線を検討したい」などと言い出せば、即座に「地域が衰退する」と強い反発が起きるからです。日本では鉄道に愛着を持つファンが多い。これほど鉄道に思い入れを持つ国は珍しく、英国と日本ぐらいでしょう。

 日本ではとにかく鉄道だけは特別な存在。…

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