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電気自動車(EV)への移行を促す動きが海外で加速している。
環境規制で先行する米カリフォルニア州は、2035年にガソリン車の新車販売を禁止し、走行中に二酸化炭素を排出しないEVなどに切り替えることを目指す。
バイデン米政権は30年までに新車販売の半数を電動車にする目標を掲げる。北米で生産されるEVの普及を優遇措置で後押しし、工場誘致に力を入れている。
欧州連合は昨夏、ガソリン車の販売を35年に禁止する方針を表明し、中国もEV化を進めている。各国には、次世代の環境技術で主導権を握る狙いがある。
日本メーカーはエンジンとモーターを併用し、燃費の良いハイブリッド車を強みとしている。エンジンの製造に関わる部品メーカーの雇用確保にもつながってきた。
EVシフトが世界の潮流になる中、ハイブリッド車にこだわりすぎれば競争力を失いかねない。各社は対応を迫られている。
新車販売台数で世界一のトヨタ自動車は昨年末、30年にEV350万台の販売を目指す方針を表明した。先月には豊田通商とともに、車載用の電池生産を日米で始める計画を発表した。
ホンダは中国や韓国の電池メーカーなどとの提携を強化し、日産自動車も三菱自動車、仏ルノーとの協業を進めている。
世界的なEVの普及には課題もある。EVは価格が高い上、充電設備も必要なことから、先進国と途上国などでばらつきが出ることが見込まれる。
各社は、市場や規制の動向に即応できる生産体制を築く必要がある。提携戦略で投資負担を軽減する工夫も欠かせない。
日本政府は35年までに新車を全て電動車にする方針だ。ハイブリッド車も含まれるが、商業施設の充電設備拡充などでEVの利用環境を整えることが急務となる。
部品メーカーのEVシフトを支援して雇用を守るとともに、競争力のかぎを握る電池産業の振興が不可欠だ。太陽光発電の利用促進などで、使用電力の脱炭素化も急ぐ必要がある。
業界の市場環境が激変する中、「自動車王国」の地位をいかに保ち続けるか。官民挙げての柔軟な対応が求められている。