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国内外の異なる部署で取材する14人の中堅記者が交代で手がけるコラム。原則、毎日1本お届けします。

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オランダの古都が肉の広告を禁じたわけ

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オランダの地方都市で肉の広告が禁止される。肉汁したたるステーキの写真が世界の公共スペースから消える日は来るのだろうか(写真はイメージです)=AP
オランダの地方都市で肉の広告が禁止される。肉汁したたるステーキの写真が世界の公共スペースから消える日は来るのだろうか(写真はイメージです)=AP

 この夏から英国の大学のオンラインプログラムに参加して、60カ国のメディアの人たちと気候変動の報道について議論を続けています。テーマの一つはニュース離れ。程度の差はあれ、どの国の同僚たちも「記事や番組がとどかない」という本質的な悩みを抱えています。心理学者と記事の構成を考える試みも始めていますが、特効薬はありません。当コラムも私なりに趣向を変えながら地球環境の危機をめぐる話題を提供し、関心をもつ一人でも多くの方とつながる糸にしたいと考えています。引き続きごひいきに。【外信部・八田浩輔】

 オランダの古都ハーレムは、地球温暖化対策の取り組みの一つとして、公共スペースで肉の広告を禁止する世界で初めての街になる。

 そう言われても、日本ではまだピンとこない人がほとんどではないか。

 実は、世界で人為的に排出される温室効果ガスの3分の1は「食」に関係している。とりわけ酪農は、牛のげっぷやふん尿処理の過程で、強力な温室効果ガスであるメタンが多く発生する。二酸化炭素(CO2)に換算すると、畜産の温室効果ガス排出量は、車や飛行機など世界中の乗り物のそれを上回る。飽食の先進国で環境負荷の高い肉の消費を減らすことは、科学的にも有効な温暖化対策の一つと考えられているのだ。

 ハーレムでは2024年から、路上やバス停のスクリーン広告でハンバーガーなどの写真を目にする機会がなくなるらしい。市議会での議論を主導した「緑の党」系の議員は、地元メディアにこう語っている。

 「人々が自宅の台所で何を調理するかは問題ではありません。肉を食べ続けたいのなら、…

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