想像力欠く「鎖国」の日本農業 必要なのは職人技よりも生産性
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危機が叫ばれる日本農業。その本当の問題はどこにあるのか。フィールドワークを通じて世界の農業事情に精通する拓殖大国際学部教授・竹下正哲さんは「変わろうとしない意識」を突く。
――日本の農業の根本的な課題は、半世紀前にストップした生産性にあると主張されています。特に露地栽培で顕著のようです。
◆この1年間、イスラエルで生活して実感したのですが、海外での外食は非常に高い。マクドナルドのセットメニューは2000円くらいします。一方でスーパーに並んでいる野菜や果物は驚くほど安い。日本の半値以下で買えます。日本とはまったく逆だ。すなわち、「日本の農産物は高い」ということです。これは国連食糧農業機関(FAO)の最新データで裏付けられます。ホウレンソウ、ナス、リンゴ、イチゴ、ミカン、ブドウ、茶、ソバ、マメ類など軒並み世界一高い。コメは2位ですが、米国産の7・5倍です。ソバはロシア産の4・4倍。世界では、おおね日本の8分の1ほどの値段です。
日本の農産物が世界一高い理由はいろいろありますが、一番大きな要因はやはり生産性が他の先進諸国より劣っているからです。これはコインの表と裏の関係です。高いので、輸出はほぼ皆無です。数字になっているのはリンゴと茶くらいで、それも国内生産の数%ほどです。世界トップクラスの生産量がある野菜類はゼロが並びます。
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