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安倍晋三元首相銃撃

2022年7月8日、演説中の安倍元首相が銃撃され、死亡しました。その後の「国葬」にも疑念が…。

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元軍国少女の怒り 国葬反対デモに同行、記者ルポ

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安倍元首相の国葬に反対する「ふじさわ・9条の会」のメンバー=東京都千代田区の国会議事堂近くで2022年9月27日、國枝すみれ撮影
安倍元首相の国葬に反対する「ふじさわ・9条の会」のメンバー=東京都千代田区の国会議事堂近くで2022年9月27日、國枝すみれ撮影

 「9月27日、午前11時37分発の1両目に」。誘いを受けて、同じ列車に飛び乗り、国会議事堂前に向かった。安倍晋三元首相の国葬に反対する抗議集会。集まった約1万5000人(主催者発表)の市民はほとんどが白髪が目立つ高齢者だった。戦争体験者もいる。居ても立ってもおられず抗議に来ている。岸田政権はこの怒りをどう受け止めるのだろう。【國枝すみれ】

「ふじさわ・憲法9条の会」に同行

 東京都千代田区の日本武道館で安倍元首相の国葬が営まれ、参列者が黙とうをささげる中、国会議事堂前では国葬に反対する市民が手に持ったカスタネットや鈴を鳴らして抗議していた。

「黙とうを強制するな」

チャチャチャ。

「国葬反対」

チャチャチャ。

 記者が同行したのは神奈川県藤沢市で活動する「ふじさわ・憲法9条の会」。藤沢市から1時間半ほどかけて抗議にきた。メンバーは70~80代。最高齢の飯田玲子さん(89)は、遠くで響く「ドンドン」という音を聞くと、顔をしかめた。自衛隊による「弔砲」19発が放たれたためだ。

 「ぞっとする。なんておぞましい」

 終戦は12歳。軍国少女だった。

 小学5年の時、国語の教科書に書いてあったという一節をすらすらとノートに書いてくれた。「礼砲一発、お召艦比叡は進む。巡洋艦高尾を先頭に須磨明石を後ろに従えて くっきりと堂々と」

 飯田さんの記憶にあるこの一節、誰もが日本軍艦を前に敬意を示した歴史をあらわにしている。

 自分の中に育てられた、「勇ましいことが美しい」と思う感覚を、戦後77年をかけて変えてきたのだという。いまは「人間は弱くて、優しいものだ」と思う。弔砲を聞くと、忌まわしい“洗脳”されていた時代がよみがえる。

 「安倍元首相は、教育基本法を変えたり、平和憲法を変えようとしたり、とんでもない首相だった。人間の希望を失わせた。無力感が広がった8年8カ月(首相在任期間)だった」

 反対集会で、マイクから聞こえてくるのは、安倍政権、国葬開催への抗議だ。

 「安倍政権に奪われたものを取り戻そう」

 飯田さんは大きく声をあげた。

「そうだ!」

 呼びかけは続く。「武道館では民主主義のお葬式が行われている。私たちが国会議事堂の前で行っているのは民主主義の巻き返しのための総決起行動だ」

 「政治とカルトの癒着を正せ」

 「国葬中止」

参加の高齢者は、安保闘争も経験

 安保闘争も経験した高齢者たちはわりとデモに慣れている。地下鉄駅で手際よくトイレ休憩し、国会議事堂の正面に到着すると、レジャーシートをひいて、簡易椅子を出す。おにぎりやコーヒーも用意している。

 混み合った大通りをぬうように、サクラの花を頭に突き立てたチンドン屋風の男性が、架空のそば屋の宣伝をしながら歩いている。

「一口食べたらやめられない 利権まみれの甘い汁と腐敗の味」。おしながきは、もりとかけ(そば)。代金は、“おともだち”と上級国民様、反社会的勢力様は300円だが、一般庶民は3000円、とある。

 安倍政権時代の「負の遺産」と言われる森友学園、加計学園(モリカケ)、桜を見る会について問題提起し、皮肉る演出だ。

70~80代参加者の声

 「抗議の灯を絶やさない」。斉藤隆夫さん(85)は視力が落ちているのに、旗を持ってグループを先導していた。安保法制に抗議したときから、毎週に駅前に立って抗議活動を続けてきた。

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【安倍晋三元首相銃撃】

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