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ヤクルトを上昇気流に乗せた「田口の20球」気配り左腕の素顔

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5月24日の日本ハム戦延長十回、無死満塁のピンチで登板して抑えたヤクルトの田口麗斗投手=神宮球場で2022年5月24日
5月24日の日本ハム戦延長十回、無死満塁のピンチで登板して抑えたヤクルトの田口麗斗投手=神宮球場で2022年5月24日

 25日に2年連続9度目のリーグ優勝を果たしたプロ野球・ヤクルト。2桁勝利を挙げた先発投手はおらず、MVP級の働きを見せたリリーフ陣にあっても、存在感が際立ったのは獅子奮迅の活躍をした田口麗斗(かずと)投手(27)だ。「人のことを大事に思えるようになってほしい」と幼い頃から言い聞かせてきた母の教えを守り、気配りの男に成長した左腕の素顔とは。

 その名を広く知らしめたのは、ファンが「田口の20球」と呼ぶ一戦だ。5月24日、セ・パ交流戦初戦だった日本ハム戦の延長十回無死満塁でマウンドに立つと、武器のスライダーと自己最速151キロを計測した直球を駆使して大ピンチを切り抜けた。延長十一回、「(田口投手の)気迫を感じ取った。燃え上がった」という4番・村上宗隆選手のサヨナラ2ランを呼び込んだ。チームは勢いに乗って、14カード連続勝ち越しもし、独走態勢に入った。

 マウンド上での気迫と対照的に、普段は笑顔が印象的なムードメーカーだ。昨季の開幕直前、巨人からトレードで入団すると、あっという間にチームに溶け込んだ。明るく、何にでも前向きな性格は、母・奈々さん(46)譲りという。

 小学3年で本格的に野球を始め、中学は地元・広島市の硬式チームでプレーした。中学時の試合を見た広島新庄高校時代の監督、迫田守昭さん(現・福山高校監督)は、「ほとんど真っすぐしか投げないが、相手はその真っすぐを全然打てない。ボールの回転や制球はズバ抜けていた」と振り返る。高校入学後に変化球をすぐにマスターし、カットボールは2、3日で投げられるようになった。

 田口投手自身にも、迫田監督にも、グラウンドの外から見ていた母にも、忘れられないシーンがある。…

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