想定死者数8割減へ 鍵は積雪と寒さ対策 日本海溝・千島海溝地震

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想定される被害と津波高2
想定される被害と津波高2

 日本海溝・千島海溝沿いを震源に発生が見込まれる二つの巨大地震について、政府が「津波避難対策特別強化地域」を指定するなどの対策を打ち出した。基本計画では、想定死者数を今後10年間で約8割減らすとの数値目標も掲げた。冬の寒さや積雪を踏まえた対策の徹底が鍵となりそうだ。

基本計画に非常食備蓄を明記

 内閣府が2020年に公表した推計などによると、巨大地震により最高で約30メートルの津波が発生し、最悪の場合で19万9000人の死者や建物22万棟の全壊・焼失が見込まれる。

 被害を増幅させる要因の一つが、積雪と寒さだ。内閣府の被害想定は、日本海溝地震で約4万2000人、千島海溝地震で約2万2000人が低体温症になると推計している。特に北海道や東北地方の場合、冬に地震が発生すると、屋外の寒さが避難した人たちに深刻なダメージをもたらすことが心配される。

 このため、政府は9月30日に決定した二つの巨大地震の基本計画で、道県や市町村に対し、「津波避難タワー」が野ざらしの状態となっている場合は屋根を付けるなどの防寒対策をとるよう求めた。暖房器具や防寒具、火を使わずに温かい状態で食べられる非常食などを、緊急時に逃げ込む「避難場所」や一時的に生活を送る「避難所」に備蓄するよう明記した。さらに、積雪時は避難速度が他の季節よりも約2割遅くなるとされることなどから、積雪や路面の凍結対策として、屋根付きの避難路を整備するよう求めた。

 著しい津波災害の恐れがあるとして特別強化地域に指定された108市町村は今後、避難施設の整備計画などを策定する。避難場所や避難路の整備といったハード面の事…

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