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戦うって何?

ロシアのウクライナ侵攻は、平和にどっぷりつかる私たちに戦争の現実を突きつけた。戦争について一歩踏み込んで考える。

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戦うって何?

戦前から一貫する極東の秩序 中国台頭に日本はどう振る舞うか

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千々和泰明・防衛省防衛研究所主任研究官=東京都新宿区市谷本村町の防衛研究所で2022年9月27日午後1時10分、鈴木英生撮影
千々和泰明・防衛省防衛研究所主任研究官=東京都新宿区市谷本村町の防衛研究所で2022年9月27日午後1時10分、鈴木英生撮影

 戦後日本の平和を守ってきたものは何か? 「あの戦争」の反省を踏まえた平和憲法なのか、それとも日米安全保障条約なのか。中国が台頭するなか、日本は地域の安全保障のかじ取り役になるべきだと主張する防衛省防衛研究所の千々和泰明主任研究官が近代史をひもときながら解説する。【聞き手・鈴木英生】

平和維持の鍵となる「極東条項」

 戦後日本の平和を守ってきたのは、自国が戦争をしない、戦争に巻き込まれないことを追求する一国平和主義や「平和憲法」ではありません。自著「戦後日本の安全保障」で、「極東一九〇五年体制」と呼ぶことを提唱した地域秩序こそが核心です。仮に日米安保条約が日本防衛のみに特化したものだったとしたら、それだけでは不十分でした。

 日米安保は、日本の米軍への基地提供と米国の日本防衛義務の交換で成り立っていると理解されています。しかし、条文には在日米軍を「極東」の平和と安全のために使えるという「極東条項」があります。特に朝鮮半島有事を念頭に置いたものですが、「日本を外国の戦争に巻き込みかねない」と、日本国内では警戒されてきました。実態は逆で、極東条項こそが、日米同盟を米韓同盟などと結びつけて、地域の平和を維持する鍵になってきました。

日露戦争後、変わらない極東の地域秩序

 19世紀以降の東アジアでは、中国が弱体化して欧米列強の圧力が強まりました。これに対して、日本は日清、日露両戦争を経て、台湾と韓国を勢力圏内に置きます。植民地支配が正しかったわけではありませんが、…

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