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鴻巣友季子・評 『新訳 老人と海』=アーネスト・ヘミングウェイ著、今村楯夫・訳

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 (左右社・2200円)

「the boy=成人男性」の新解釈

 ヘミングウェイの代表作『老人と海』の新訳が上梓(じょうし)された。同作家の研究の第一人者今村楯夫による翻訳であり、巻末には手厚い解説も収録している。

 ノーベル文学賞の発表が近いが、同賞は特定の作品に与えられるものではない。しかしヘミングウェイはその授賞対象を名指された数少ない一人だ。同時代作家の文体に与えた影響と、「最近作『老人と海』に示された卓越した語りの技術に対して」と選評にある。

 語彙(ごい)や構文の点ではおおむね、難解、複雑なところは少ないヘミングウェイ作品だが、翻訳の難度では最上位に入る作家だと思う。『老人と海』は特にある点が長らく議論の的になってきた。老漁師サンティアゴに寄り添うthe boyは何歳なのか? 「十歳説」と「二十二歳」説があるという。

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