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円安と物価高

日本の物価が上がっています。円安・ドル高もコスト上昇に拍車をかけ、賃上げの動きも見られます。

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「潰れてしまう」 物価高にあえぐ下町の商店街を歩いてみた

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佐竹商店街。地域の人たちに支えられ、客足は多いように見えるが……=東京都台東区で2022年9月28日午後0時42分、辻本知大撮影
佐竹商店街。地域の人たちに支えられ、客足は多いように見えるが……=東京都台東区で2022年9月28日午後0時42分、辻本知大撮影

 いずれも近年にない事態である。急激な円安に、急速に進む物価高。日本経済に大きな異変が起きていることは確かだ。経済指標だけでは読み取れない景気の実態を探るため、東京の下町にある商店街を訪ねた。300メートル超のアーケードを歩いて見えてきた厳しい現実とは。

中華料理店「値上げしないと」

 9月27日午後2時ごろ、記者が向かったのはJR御徒町駅から約500メートル離れた佐竹商店街(東京都台東区)だ。常に観光客でにぎわう近くの上野・アメ横商店街とは違い、地域密着型の約50店舗が集まっている。ここにも「異変」は起きていた。

 商店街の入り口近くで、ワイシャツ姿のサラリーマンでにぎわっている店をみつけた。中華料理「一番」。店主の岡田裕幸さん(58)に話を聞くと、返ってきたのは予想以上に厳しい言葉だった。「値上げをしないと店が潰れてしまう」

 2014、19年の消費増税時も値上げを見送った。新型コロナウイルス禍でランチの客が4割近く減っても耐えてきた。「ここは下町だから」と価格を維持してきた。しかし、物価の高騰は予想以上だった。

 この1年、小麦粉から自慢のチャーシュー用の豚肉まで、ほぼ全ての食材の仕入れ値が上がり続けている。ごま油は約2倍に高騰している。値上げラッシュの終わりが見えない中、今年5月、13年ぶりに値上げに踏み切った。看板商品のラーメンは550円から650円になった。

 「本音を言うと、また値上げしないと間に合わない」と岡田さん。常…

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【円安と物価高】

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