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コロナ禍で選んだ自宅出産 夫や子どもたちの反応は?

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3人の助産師(後列)の介助で自宅出産し、生まれたばかりの三男諒十(りょうと)ちゃんを抱く手嶋茉莉さん=手嶋さん提供
3人の助産師(後列)の介助で自宅出産し、生まれたばかりの三男諒十(りょうと)ちゃんを抱く手嶋茉莉さん=手嶋さん提供

 「振り回されるのはもう嫌」――。

 新型コロナウイルス禍をきっかけに自宅出産を選ぶ女性が現れている。病院やクリニックで家族の立ち会いや面会が制限されるなか、妊婦たちの心境にどんな変化が起きたのか。

 昨年11月7日午前7時。愛知県あま市のパート勤務、安田舞美さん(37)は、自宅1階の和室で防水シートの上にあおむけになり、激しい陣痛に耐えていた。

 夫(43)が頭を支えて励まし、起きてきた長男(11)と次男(8)も傍らで見守っている。

 安田さんの片足を肩に乗せ、お産の指揮を執っていた助産師の姜敏子さん(65)が言った。

 「頭が見えてる。もうすぐ生まれるよ、力抜いて」

 次の瞬間、長女希心(のぞみ)ちゃんが誕生。生まれたての我が子の次に安田さんの目に映ったのは、「うわー」と言いながら潤んだ瞳で妹を見つめる幼い兄弟の顔だった。

 上の2人は病院とクリニックで出産した安田さん。3人目も同じように考え、妊娠初期はクリニックで健診を受けていた。

 だが、新型コロナの感染拡大に伴い行動制限が更新される度に、産院側の指示は「立ち会い出産は不可」「入院中の家族の面会は不可」などと次々変わった。

 「振り回されるのはもう嫌。生まれてすぐの顔をお兄ちゃんたちに見せたいな」

 そう考えていたときに夫も「3人目だけ立ち会えなかったら残念だな」とポツリ。新しい命を確実に家族で迎えられる自宅での出産を考え始めた。

 自宅出産はこれまで想定していなかったため、とりあえずインターネットで検索。それほど遠くない同県一宮市内に出張分娩(ぶんべん)も行う「かん助産所」を見つけた。電話で相談し、引き受けてもらえることになった。

 助産所は自宅近くの総合病院とも連携しており、助産師の姜さんは病院での最初の健診に付き添い、産科医に説明してくれた。救急搬送が必要になった場合は病院が受け入れてくれる。

 「今まで病院が安心と考えていたけど、きちんと連携が取れているから自宅だって同じ」と思えた。

 妊婦健診のため姜さんの元に定期的に通いながら関係を築いていき、当日も住み慣れた我が家で「リラックスして産むことができた」と振り返る。産後6日間、姜さんの往診があり、心強かったという。

 驚いたのは出産後の家族の言動だった。

 「僕の時も産むの大変だったんだよね」などといたわりの言葉をかけてくれるようになった長男。妹の世話にも積極的で、ゲーム中でも「ちょっと見てて」と声をかければすぐに駆け寄ってくれる。

 夫も産後の2週間で、みそ汁とカレーを作れるようになった。上の子の時にはなかったことだ。

 安田さんは「家族が知らない間に産院で1人で出産し、赤ちゃんを連れて帰ってくるのとはちょっと違ったかな」と笑う。

 「自宅はリスクが高いとか自分でも勉強が必要と思っていたけど、そんなことはなかった。ハードルは高くないと思いました」

コロナ流行前より増加

 開業助産師が妊婦の自宅に出向いて分娩介助する自宅出産。愛知県助産師会によると、2021年は51件、20年は47件で、コロナ流行前(19年19件、18年29件、17年29件、16年20件)と比べ伸びている。

 背景には助産師数が増えたこともあるが、増加率はそれを大きく上回っている。…

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