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こたつ付近から立ち上る火柱に、高齢男性は気付いていなかった。男性を急いで避難させたのは、火災現場に居合わせた一人の警察官だった。住宅はあっという間に全焼。間一髪だった。ただ、この2022年5月の救出劇は偶然ではなかった。遠藤剛・前和歌山県警本部長は8月の離任記者会見で、たたえた。「愚直に任務を実行し、人命を救助できた」。この警察官が担っていた任務とは――。
男性が住むのは、人口2500人弱の同県古座川(こざがわ)町だ。1956年、「昭和の合併」で1町4村が合併して誕生した。2005年、「平成の大合併」で新・田辺市が誕生するまで、県内で最も面積の大きい自治体だった。町では一時、現在の串本町との合併が模索されたが、「町の財産を町民のために使いたい」などとして、最終的には単独町制の道を選んだ。
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