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日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。
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ボードゲームには鉄道をテーマにした作品が多数あります。以前紹介した「チケット・トゥ・ライド」のようなシンプルなルールのものから、「蒸気の時代」、「18XXシリーズ」のような株をからめたシビアな作品まで。今回はカジュアルに遊べる中軽量級でお薦めしたい3作品を紹介します。
線路は共通「トランスアメリカ」
まずは一番ルールが分かりやすい「トランスアメリカ」から。かなり以前の作品ですが、3年前にリメークされ、日本マップも追加された「トランスアメリカ&ジャパン」が発売され入手しやすくなりました。
最初に色の異なる5枚のカードが配られます。5地域の1都市が記されていて、この5都市を線路でつなぐことが目的。手番になったら黒い線路を2本まで引くだけです。ただし川や山は1本しか引けません。線路は各プレーヤー共通で、誰が引いた線路でも都市と都市をつなぐために利用できるのです。最初に5都市をすべてつないだプレーヤーがラウンドの勝者となり4点ゲット。他プレーヤーは線路の不足分に応じた点数をもらいます。目的地カードを配り直して次のラウンドへ。13点以上取れば勝利します。
手番でやることは非常に単純ですが、どの都市をつなごうとしているのかを他プレーヤーに悟られないようにしながら、上手に他プレーヤーが引いた線路を利用するよう考えるのが楽しい。人数が多い方がいいでしょう。
後半はすごろく「1号線で行こう!」
ドイツの地方都市に路面電車の新しい路線を引く「1号線で行こう!」も、最近日本語版が発売されて再び注目が集まる中量級の作品です。
プレーヤーは鉄道会社の社長となって、ボードの対面する辺にある同じ数字の駅をいち早く結ぶことを目指します。事前に結ぶ駅の数字と経由する停留所がカードによって秘密裏に指定されています。手番では手持ちの線路タイルを置くかボードに配置されたタイルと交換するかの2択。線路配置にはいくつかのルールがあり、うまく配置しないと進めない事態に。他プレーヤーによる攻撃性が強い作品なので、自分の目標駅がバレると邪魔されてしまいます。
直線3個とカーブ2個の同じ線路タイルを持ってスタートしますが、後は袋から引いてくるので運任せな部分も。指定の停留所を経由し同じ数字の駅同士をつなげてようやく完成。「やったー」とならないのがこの作品の最大の特徴です。
実は線路を引くのは前半パート。路線が完成したら今度はサイコロを振って自分の電車を走らせる後半のすごろくパートが待っているのです。自分の電車がゴールしてようやく勝利。すごろくなので後からスタートしたプレーヤーが先にゴールすることも。若干理不尽とも思えますが、約25年ぶりにリメークされた日本語版にはすごろくパートでサイコロ3個を使い戦略性を高めた「アニバーサリールール」も付属しています。
チンチン! ベルを鳴らそう「リスボントラム28」
最後は、ポルトガルの首都リスボンを舞台とした「リスボントラム28」。プレーヤーはトラム(路面電車)の運転士となり、乗客を乗せて市内のさまざまなモニュメントで降ろす典型的な「ピック&デリバリー」です。
手番にできるのは2アクション。①トラム駒の移動②乗客駒を乗せる③乗客駒をモニュメントのマスで降ろす④ボーナスの取得――の4種類から選択します。移動+移動や移動+乗せる、移動+降ろすなど。移動時は4色(赤、青、緑、黄)のチケットカードを1枚捨てれば1マス移動できるのですが、同色なら何枚でも捨てられて枚数分のマスを移動できるのです。一方、乗客を乗せる場合は乗客の色と同じ色のチケットカードを捨てなければなりません。
モニュメントに乗客を降ろせば得点となるのですが、到着時に公開されたモニュメントカードに描かれたのと同じ色・個数の乗客がトラムに乗っていなければなりません。特定のマスで同色のチケットカードを3枚支払えば、余分に1マス移動できたり手番のアクション数が増えたりするボーナスが受け取れます。
手札のチケットカードは山札から手番終了後に4枚引いてくるだけ。枚数制限もありません。同じ色の3枚を別の色1枚のチケットカードとして使えて便利なのですが、手札が減るので多用するとじり貧に。戦略と運要素が好バランスなファミリーゲームです。
大事なことを忘れていました。トラムは単線なので停留所に別のプレーヤーの車両がある場合、押し出すことになります。押し出した方、押し出された方の双方がチケットカードを山札から1枚引けるのでウィンウィンなのですが、その際、付属のベルを「チンチン」と鳴らすことがルールに明記されています。鳴らさなくても別に困らないのですが、何より楽しい。遊ぶ際はぜひ積極的に「チンチン」してください。【野地哲郎】=次回は10月22日掲載
「トランスアメリカ&ジャパン」データ
2~6人用◆所要時間30分◆8歳以上対象◆フランツベノ・デロンシュ作◆2019年初版(オリジナル作品のトランスアメリカは2001年初版)
「1号線で行こう!」データ
2~5人用◆所要時間45分◆10歳以上対象◆シュテファン・ドラ作◆1995年初版
「リスボントラム28」データ
2~4人用◆所要時間60分◆8歳以上対象◆ペドロ・サントス・シルバ作◆2021年初版