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日中50年・現場から

日中国交正常化から50年。半世紀で双方の交流は飛躍的に増えたが、摩擦も尽きません。日中関係が映し出された現場を追います。

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日中50年・現場から

技術力でも脅威に

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新日鉄住金(現・日本製鉄)君津製鉄所で稼働する粗鋼を薄く延ばす圧延機=千葉県君津市で2016年9月30日、高橋慶浩撮影
新日鉄住金(現・日本製鉄)君津製鉄所で稼働する粗鋼を薄く延ばす圧延機=千葉県君津市で2016年9月30日、高橋慶浩撮影

 1972年の国交正常化以来、日中両国は経済関係を深めてきたが、その立場は大きく変化している。中国の経済規模は日本の3・6倍に拡大し、技術力でも日本企業に迫っている。さらに、国家安全保障に関わる機微技術や情報を囲い込む「経済安全保障」の動きが強まり、日中の経済関係は難局を迎えている。

 2021年10月、中国の製鉄最大手・宝山鋼鉄を巡って日本経済界を揺るがす事態が起きた。国内最大手の日本製鉄が、「電磁鋼板」の特許権を侵害したとして宝山鋼鉄とトヨタ自動車を提訴したのだ。

 電磁鋼板は電気自動車(EV)の「心臓」である電動モーターに使われる鋼材で、日鉄の誇る最先端技術だ。「社長として合理的な判断をした。全く迷いはなかった」。日鉄の橋本英二社長は記者会見で、提訴に踏み切った決意を述べた。

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