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異次元の10年

日銀の黒田東彦総裁が2023年4月に任期満了を迎えます。黒田・日銀が展開した「異次元」の金融緩和の功罪を追います。

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異次元の10年

黒田日銀総裁、任期残り半年 「異次元緩和」は日本を変えたのか

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金融政策決定会合後の記者会見で、質問に答える黒田東彦・日銀総裁(右奥)=東京都中央区で2019年7月30日午後3時52分、尾籠章裕撮影
金融政策決定会合後の記者会見で、質問に答える黒田東彦・日銀総裁(右奥)=東京都中央区で2019年7月30日午後3時52分、尾籠章裕撮影

 日銀の黒田東彦総裁の任期満了(2023年4月8日)まで残り半年となった。アベノミクスの下、約10年にわたって「異次元」とも称された大規模金融緩和を主導してきた黒田氏。株価の上昇など一定の成果も上げたが、最近では急激な円安をはじめ弊害が目立つ。黒田・日銀の金融政策は日本経済をどう変えたのか。日銀関係者の声をつないだ。

「目標2年で達成」自信の船出

 「これまでとは量的にも質的にも次元が違う緩和だ」。日銀総裁に就任後、初めて開いた13年4月の「金融政策決定会合」終了後の記者会見で、黒田氏は自らが打ち出した大規模な金融緩和策を「異次元」と表現してみせた。

 物価安定の目標は2%▽達成期間は2年▽マネタリーベース(供給するおカネの量)は2年で2倍――。会見で黒田氏は政策目標に「2」を並べたフリップまで用意。白川方明前総裁時代の金融政策を「これまでのように少しずつ緩和を拡大するやり方では(2%の物価上昇は)達成できない」と皮肉るなど、その表情は自信に満ちていた。

 黒田氏は財務省の事務方ナンバー2で、国際金融を担当する財務官経験者。退任後はアジア開発銀行(ADB)総裁を務め、主に国際畑を歩んできた。日銀総裁人事とは無関係と思われていた黒田氏を金融政策の表舞台に出したのは、12年末に首相に返り咲いた安倍晋三氏だ。安倍氏は13年1月、白川・日銀との間で2%の物価上昇を目指す「共同声明」を採択するなど自身が掲げる「アベノミクス」の先兵に日銀を据えた。その実行役として選ばれたのが黒田氏だった。

関係者、市場も効果に期待

 黒田氏の政策を間近で見てきた人物がいる。正副総裁とともに日銀の金融政策に決定権を持つ…

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