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北朝鮮「金王朝」に新たな謎 建国イベントに現れた少女は誰か?

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金正恩氏の娘かと注目される少女(右から3人目)=朝鮮中央テレビから
金正恩氏の娘かと注目される少女(右から3人目)=朝鮮中央テレビから

 先ごろ、北朝鮮ウオッチャーが色めき立った。建国記念日の慶祝イベントに登場した少女が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘ではないか? いや、金総書記の妹、与正(ヨジョン)氏の娘かも? さまざまな観測が飛び交ったのだ。真相は不明ながら、いかにも幸せそうな金ファミリーのハレの日のひとコマには見えた。核・ミサイル開発に拍車をかける強硬姿勢との落差に戸惑うばかりだが……。

際立つカメラワーク

 その少女が現れたのは9月8日夜、平壌(ピョンヤン)は万寿台(マンスデ)の特設野外ステージで開かれた建国74年を祝う音楽公演だった。正恩氏は李雪主(リ・ソルジュ)夫人を伴い、観覧していた。テーブルにはシャンパングラスが置かれ、くつろいだ雰囲気だ。会場は立すいの余地もない。プログラム後半、新人女性歌手、チョン・ホンランさんの熱唱に続き、大勢の子供たちが飛び出してきた。歌ったのは「はためけ共和国旗、私たちの三色旗」。そのなかに10歳くらいだろうか、ピンクのワンピース姿で、国旗を手にした目鼻立ちのくっきりした少女がいた。同じ服装の子供たちに比べ、頭ひとつぶん背が高い。みなと楽しそうに歌い、踊っているが、ひとり前髪を垂らし、カチューシャでおしゃれをしている。靴下も彼女しかはいていない。どこかしらあか抜けた感じが漂う。

 さらに公演を伝える朝鮮中央テレビのカメラワークが少女を際立たせる。椅子に深く腰掛けていた正恩氏がやおら身を乗りだし、相好を崩す。後ろの席で与正氏がニコニコしながら口ずさむ。儀典担当の女性もほほえんでいる。次の瞬間、クローズアップされたのがくだんの少女だった。舞台中央で旗を高々と掲げ歌い出すや、雪主夫人の笑顔に切り替わる。夫妻がうれしそうに言葉を交わすと、再び少女が大映しになる。そして終演後、夫妻は出演者をねぎらうため、舞台へ。夫人は少女の背に手を添え、ひと声かける。少女は正恩氏に駆け寄る女の子の袖を引っ張り、制止する。そんな光景を心配そうな面持ちで見つめる与正氏もとらえている。

   ◇

 少女は誰なのか? 2017年8月、韓国の情報機関、国家情報院が国会に「雪主夫人が…

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