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お寺は全国に7万以上あり、コンビニの店舗数より多い。しかし、専従の住職がいなかったり、年収300万円未満で細々と維持していたりする寺院も少なくないという。国学院大の石井研士教授(社会宗教学)が研究成果を踏まえながら、その背景について語った。お寺を取り巻く状況はどう変遷し、どのような未来が待ち受けているのか。【聞き手・川瀬慎一朗】
廃寺が増えている要因は人口減や過疎化、ライフスタイルの変容にある。研究者の間では1960年代ごろから、神社なども含めた地域社会を母体にした宗教法人の運営が厳しくなる、と指摘されてきた。
当時、現場ではまだそうした実感はなかった。子どもたちが都会に出ても、残された親世代が、ある程度高齢まで、地方で元気に働いていたためだ。
破綻が明白になったのは80年代になってからだ。中山間地では木材価格が低下し、森林を維持できず人口が減少した。U・Iターンもあるが圧倒的に少なく、ものすごい勢いで人口が減っている。
役場が統合されて商店や病院、郵便局が消えていく。乗降客数が維持できず、赤字路線も切り捨てられる。お寺もいつまでも維持できない。
そこで廃寺や合併が起きている。「兼務寺院」に普段、住職はいないが、何かあれば近くの寺の住職が行くことになっている。人口が何十年も安定して維持できればそれでやっていけるが、段々人が減れば、かえって兼務の手間ばかりかかる。一度にかなりの数の寺を抱えれば、檀家(だんか)の面倒も十分に見られなくなる。
地方に住む年配者の中には「ご先祖様が守ってきたお寺だから守りたい」と思う方がいる。しかし、都市部に出た子どもは親がいるうちは帰ってきても、結局は地元に戻らないので墓を整理しようとしている。お寺が傷んでも、「自分たちでおしまいなら、お金を出しても無駄では」と考える。…
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