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黒塗りのレクサスと自転車

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国会議事堂前から自転車で自民党本部に向かう山下貴司衆院議員=東京都千代田区永田町で2022年9月22日、高本耕太撮影
国会議事堂前から自転車で自民党本部に向かう山下貴司衆院議員=東京都千代田区永田町で2022年9月22日、高本耕太撮影

 日常の行動にも「意味」や「姿勢」を常に求められて政治家はさぞかし大変だろうな、と思います。でも、それが国民の負託を受けるということなのかなとも考えます。【政治部・高本耕太】

 法相を務めていた2018年10月から19年9月までの間、自民党衆院議員の山下貴司さん(57)の移動手段はどこに行くにも、黒塗りの大臣車だった。車種はトヨタ・レクサス。「高級車だから乗り心地はよかった」という。だが、外の世界と遮断されている感覚もあった。

 「勘違いしちゃいけない。この車も、役職も、有権者からお預かりしているものだ」。クッションの利いた後部座席に身を沈めるたび、そう自分に言い聞かせていた。

 大臣を退任した9月11日に「一政治家に戻るという思いを込めて」1台の自転車を買った。パナソニック製の電動自転車。色は黒を選んだ。

 検察官から政界に転身した際に掲げたのは「当たり前の正義感に応える政治」。12年の初当選以降に手がけた10本の議員立法は、改正ストーカー規制法や空き家対策特別措置法、AV出演被害防止・救済法など、具体的な被害や不利益を抱える「個人」の救済を目指すものが多い。「日々の暮らしの問題を法律で解決するのが立法府であり政治家の役目、との思いがある」という。

 山下さんは今、東京都内の自宅マンションから国会までの通勤も、議員会館事務所と党本部との往復にも自転車を使う。同僚議員がホテルで開くパーティーにも自転車で向かう。アルコールを口にしたときは自転車を押して帰る。首相官邸の前でペダルをこいでいると、職務に忠実な警察官に止められて行き先を尋ねられることもある。「政治家には重みも必要。でもそれ以上に求められるのはフットワークだ」と考える。

 車移動との一番の違いは…

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