服部剛丈さん射殺30年 「暴力なくすため」ホストの地道な活動

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児童ら計21人が死亡した銃乱射事件を受け、公園でキャンドルをともして犠牲者を追悼する住民ら=米南部テキサス州ユバルディで2022年5月29日、鈴木一生撮影
児童ら計21人が死亡した銃乱射事件を受け、公園でキャンドルをともして犠牲者を追悼する住民ら=米南部テキサス州ユバルディで2022年5月29日、鈴木一生撮影

 米国留学中だった服部剛丈(よしひろ)さん(当時16歳)が30年前の10月17日、ハロウィーンパーティーに向かう途中で銃撃されて亡くなった。事件はホームステイ先の家族の人生を大きく変えた。ホストファミリーの夫妻は心を痛めながらも「暴力をなくすために」と銃規制の活動に携わり、3年前には夫の母校に日米の学生を支援する奨学金を創設した。その背中を押し続けたのは、息子を亡くした服部夫婦の存在だったという。

 「熱意にあふれ、社交的で人懐っこく、とても賢い子でした。スポーツやダンスが好きで、非の打ち所がない交換留学生だった」

 ホストマザーのホリー・ヘイメーカーさん(77)にとって「ヨシ」は忘れることのない人だ。滞在中にハリケーンで家の庭の木が倒れた時、率先して片付けを手伝ってくれたこと、地元の祭りに一緒に参加したこと、高校のサッカーの試合で同級生から大きな声援を受けていたこと――。多くの思い出が胸に残る。

 事件から約1週間たった頃、心が引き裂かれる思いだったホリーさんは剛丈さんの母美恵子さん(74)の姿に驚いた。地元の教会に集まった多くの人の前で加害者に対して「同情している。彼もまた、アメリカの銃による暴力の被害者だ」と話したという。

 日本で行われた剛丈さんの通夜の日、美恵子さんと父政一さん(75)は、痛ましい事件が繰り返されないようにと、銃規制を求める署名活動を始めた。

 ヘイメーカー夫妻も米国で署名を集めた。政治的な活動に携わることが少なかった夫リチャードさん(82)も約2年にわたり、活…

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