アルツハイマー病の新薬は患者の光明になるか 気になる効果と価格
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アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」について、米製薬会社と共同で開発している日本の製薬大手エーザイは、最終段階の臨床試験(治験)で症状の悪化を抑える効果を確認した。2023年中の承認を目指しているが、果たして患者を救う薬になれるのか。取材すると、対象となる患者や薬価(薬の公定価格)など実用化に向けた課題が見えてきた。
認知症の7割、アルツハイマー病
「疾患の根本の原因に介入し、進行を止めたり遅らせたりする治療薬が実用化されれば(認知症との)『共生』と『予防』の推進にも資する」
加藤勝信厚生労働相は9月30日の記者会見で期待感を示した。世界で最も早く高齢化が進む日本で、認知症患者は約600万人に上り今後も増加が見込まれる。発病前の軽度認知障害の人を入れると計1000万人との推計もある。予防や治療法の確立は急務だ。
認知症患者のうち、およそ7割をアルツハイマー病が占める。脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が複数結びつき、脳神経を傷めるのが原因の一つと考えられている。
アルツハイマー病薬で現在承認されているのは、エーザイの「アリセプト」など4種類ある。
アルツハイマー病になると、神経伝達物質の一つが減少する。これらの薬は、神経伝達を助けることなどにより症状を和らげる効果が認められている。
しかし、Aβそのものを取り除くことはできず「何年か飲んでいると効かなくなる。ただ、それしか薬がないので使い続けているのが現状」(神奈川県内のある脳神経内科医)という。
この4種類とは別の仕組みで最終治験に進んだ薬も複数あるが、いずれも効果が確認されず、開発は難航している。
近年では、エーザイなどが「アデュカヌマブ」の承認申請をした。レカネマブと同じ「抗体薬」と呼ばれる薬の一種で、Aβを取り除く効果が期待されている。
そのメカニズムは、…
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