中高一貫女子校、理系進学に注力 「代わり利かぬ仕事得られる」

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食虫植物に刺激を加えて、葉が閉じる様子を観察する昭和女子大付属昭和中学高校の生徒ら=東京都世田谷区で2022年6月7日午後1時34分、深津誠撮影
食虫植物に刺激を加えて、葉が閉じる様子を観察する昭和女子大付属昭和中学高校の生徒ら=東京都世田谷区で2022年6月7日午後1時34分、深津誠撮影

 東京都内の中高一貫女子校で理系分野の大学進学を重視した動きが目立っている。中学2年で米マサチューセッツ工科大(MIT)を見学させたり、理科室を増やしたりするケースもある。長く学校の進路指導は「女子は理系には向かない」という先入観がありがちで、文系進学に傾いてきたが、こぞって「理系女子」輩出に力を注いでいる。【深津誠】

正解ではなく、仮説と検証の面白さ

 私立女子校・昭和女子大付属昭和中学高校(世田谷区)の理科実験室。中学1年の生徒が机の上をはうダンゴムシの行方を見守っていた。発泡スチロールで作った「迷路」に放たれたダンゴムシは、壁にぶつかりそうになるたびに左右交互に方向転換しながら進む。

 生徒たちは、この習性を事前に学んだ上で、どんな手を加えれば別の動きになるのかの仮説を立てて実験に臨んだ。「エサを置けば2回続けて左折するのではないか」「暗い所が好きだから片方の道を暗くしたり、明るくしたりしよう」。懐中電灯で照らしたり、エサの枯れ葉を置いたりと試行錯誤を重ねた。

 正解は「条件を変えてもほとんどがジグザグに進む」。授業の狙いは正しい結論を導き出すことではなく、担当する田矢史織教諭は「論理的な仮説を立て、条件を変えて検証する面白さがわかれば正解です」と笑った。

 ダンゴムシを見つめる阿部明来(めいな)さん(13)は「実験を通して考える方が、いろいろな可能性が思い浮かぶ。想像と違うことが起きるのが面白かった」と話した。

 実験に臨んだのは「スーパーサイエンス(SS)コース」に今春入学した生徒だ。理系分野に興味を持つ生徒を中1の入学時から一つのクラスに集め、医療系や人工知能(AI)、ロボットなどを重点的に勉強してもらう。中2では米ボストンに研修に出かけ、世界最高峰の理系大学・MITなども見学する。

 SSは2018年度に中3か…

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