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労働者として当然の権利が十分に保障されていない。理不尽な現状が浮き彫りになった。
7年前、家事代行兼訪問介護ヘルパーとして働いていた68歳の女性が死亡した。夫は過労死だと訴えて労災認定を求めたが、東京地裁が先週、退ける判決を出した。
個人の家庭で家事の代行をする「家事使用人」には、労働基準法が適用されず、労災補償も対象外となっている。
ただ、厚生労働省は「事業者に雇われ、その指揮命令下で働いていれば、家事使用人に該当しない」との通達を出している。
女性は、家事代行の登録をしていた会社から、重度の認知症で寝たきりの高齢者宅に派遣された。住み込みで1週間働き、直後に死亡した。1日当たりの勤務時間は19時間に上ったという。
判決は、介護は会社との雇用契約に基づく業務だと認めた。しかし、家事代行については、会社はあっせんしたに過ぎず、女性と高齢者宅との個人契約のため、家事使用人に当たると認定した。
労災と認めるかどうかの判断に当たっては、1日4時間半の介護業務だけが対象となり、過重労働とは言えないと結論づけた。
だが、同じ派遣先での仕事にもかかわらず、雇用形態が異なるだけで扱いを変えるのは、あまりにしゃくし定規な判断ではないか。
家事使用人が労基法の適用外と規定されたのは、戦後の法制定時に「家庭内の労働を国が一律に規制すべきではない」との考え方があったためだという。
その後、共働き世帯の増加や高齢化の加速で、家事代行の需要は高まっている。雇用や就業の形も多様化している。
時代の変化に即して見直すべきだと長らく指摘されてきたが、規定はそのままになっている。家庭内の労働を軽視する風潮が、根強く残っているためではないか。
海外では、家事労働者の権利を守る動きが広がりつつある。国際労働機関(ILO)は2011年、他の労働者と同様の権利を持つべきだとする条約を採択した。だが、日本は批准していない。
職種によって、労働者の権利が制限されることがあってはならない。家事使用人にも労基法が適用されるよう直ちに改正すべきだ。