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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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日本とロシアが領事追放で応酬「ペルソナ・ノン・グラータ」とは

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日本が関わった主なペルソナ・ノン・グラータ(PNG)の例
日本が関わった主なペルソナ・ノン・グラータ(PNG)の例

 ロシア政府が在ウラジオストク日本総領事館の領事1人を「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物=PNG)に指定し国外退去させたことに対抗し、日本政府は4日、ロシアの在札幌総領事館の領事1人をPNGに指定し、露の領事は10日に日本を出国した。日本では聞き慣れないPNGとは――。

「命のビザ」背景にPNGも

 PNGはラテン語の外交用語。外交官の受け入れ国は派遣国に対し、理由を告げることなく、滞在を拒否することができる。

 PNGに指定された外交官は、そのままだと身体の不可侵などの外交官特権が失われ、逮捕などの危険があるため、派遣国はただちに帰還させるのが一般的で「外交官に対する制裁としては最も重い措置の一つ」(外務省幹部)だ。外交関係と領事関係についての多国間条約で規定されている。

 PNG指定を受けた最も有名な日本人外交官は、第二次世界大戦下、ナチス・ドイツの迫害から逃れようとしたユダヤ人に「命のビザ」を発給した杉原千畝(ちうね)氏だ。

 ロシア語が堪能で、ロシアと権益を争っていた旧満州での勤務経験がある。モスクワへの赴任を予定していた杉原氏だったが、受け入れ国のソ連(当時)はPNGに指定し入国を拒否した。その後、杉原氏が赴任したのが、独ソがにらみ合う北欧リトアニア。そこで逃げてきたユダヤ人に対してビザを発給した。

日本によるPNG指定は4件

 外務省によると、戦後初めて日本人外交官がPNG指定を受けたのは20…

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【ウクライナ侵攻】

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