「低魚粉」は日本の養殖業界を救うか 餌代削減以外にもメリット
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養殖業界が今、大きなピンチを迎えている。天然の水産資源が減少するなか成長が期待される養殖だが、餌に使う魚粉が高騰して業者の経営を圧迫しているのだ。「このままでは存続が難しくなる」と危機感が募る業界では、持続可能な養殖を目指す取り組みも始まっている。
高騰する魚粉「中国に買い負け」
「予想よりも一段と高くなってしまった。飼料代だけで年間250万~300万も負担が増えてしまう」。ニジマスやイワナなどの川魚を養殖している「あづま養魚場」(群馬県東吾妻町)の池田駿介取締役(36)は、10月からの餌代の値上がりに頭を抱えていた。
同社が使うのは、魚粉、小麦粉、大豆油かすなどを含む乾燥した固形タイプの配合飼料だ。4月に1度値上がりし、10月からは今年2度目の値上げとなる。値上がり幅も4月に比べて最大4倍ほどに増大し、年間で約25%の負担増になる。魚の卸先は旅館やホテルが多い。4月は卸価格の値上げに理解を得られたが、「年に2回も値上げをお願いしないといけない。ご理解をいただけるか不安だ」と吐露する。
なぜ、魚の餌が高騰しているのか。その大きな理由は、配合飼料の中に含まれる「魚粉」の高騰だ。
魚粉はペルー産のカタクチイワシを原料とした輸入物が中心で、その国際相場は高止まりしている。品質が安定しているというペルー産魚粉のほとんどは中国が輸…
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