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米大手民泊仲介サイトのエアビーアンドビーで、海外からも注目される宿泊施設が神戸市にある。かつての「安かろう悪かろう」な施設は新型コロナウイルス禍で淘汰(とうた)され、イメージを塗り替えるような民泊が登場している。水際対策の緩和で回復が期待される外国人観光客を巡り、再び熱を帯びる民泊業界で何が起きているのか。
神戸の繁華街・三宮から電車で約10分の住宅街の一角に、外観がクリーム色の3階建ての建物がある。ここが真野龍太朗さん(28)が経営する宿泊施設「草戸(そうこ)」だ。真野さんは8月にエアビーアンドビーから、アジア太平洋地域(中国を除く)で活躍する「30歳未満のトップホスト12人」の一人として日本で唯一選ばれた。
建物に足を踏み入れると、上質な畳の香りが漂ってくる。2階と3階に計4部屋ある客室には全て畳の間が設けられ、1階にあるのは畳が積まれた保管庫。真野さんは、神戸市兵庫区で70年続く畳店の4代目でもあるのだ。
コンセプトの異なる4部屋は、北欧の暮らしにヒントを得たり、打ちっぱなしのコンクリートを残したりしており、それぞれの部屋になじむ畳をしつらえた。6~8人が泊まれる広さがあり、料金は1部屋当たり1泊1万1000円から。
観光客の入国が厳しく制限されていた2021年4月に営業を始めた。すると国内客が近距離旅行や女子会で利用するようになり、週末には予約で埋まるようになった。真野さんは「ホテルよりも広く、快適な部屋を作れば、コロナ禍でも需要はあるはずだと考えた」と振り返る。
全国的に畳の販売は減少傾向にあり、真野さんが継ぐ前も畳店の傍らアパートなどの不動産経営を手掛けていた。16年に家業を継いだ後、アパートの空き部屋を利用した民泊を始めた。学生時代の米国旅行で民泊を利用した経験があり、関心があったという。
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