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3泊4日で最高170万円 改装「ななつ星」強気な料金設定ができたワケ

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旗を振る住民たちの歓迎を受けながら由布院駅に入る「ななつ星in九州」=大分県由布市で2013年10月15日午後3時48分、和田大典撮影
旗を振る住民たちの歓迎を受けながら由布院駅に入る「ななつ星in九州」=大分県由布市で2013年10月15日午後3時48分、和田大典撮影

 九州を巡る豪華寝台列車「ななつ星in九州」の改装車両が15日に運行を開始する。2013年の登場以降、日本の豪華列車ブームの火付け役となった。より上質なサービスを提供しようと、最高価格(3泊4日、2人1室利用)は従来の6割増しの1人170万円。強気の料金設定の背後には、これまでの運行経験で培った「おもてなし」の進化があった。

「クルーズトレイン」の先駆けに

 ワインレッドに金のエンブレムをあしらった光沢のある8両編成が姿を現すたびに、沿線の住民は思わず手を振る。10年目に入るななつ星はすっかり九州各地の風景に溶け込んでいる。木目調の落ち着いた車内では九州の名店の料理人が腕を振るい、乗客は生演奏を聴きながらワイングラスを傾け、特別な時間を楽しんできた。

 13年10月にJR九州が社運をかけて投入した豪華寝台列車は、博多駅(福岡市)から九州の観光地を巡って再び博多に戻る。この周遊スタイルは当時の国内鉄道業界では異例で、1人最高55万円の料金と合わせて話題を呼んだ。17年には大阪を出発して山陽、山陰地方を巡るJR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」や、東京から北海道、東北などを巡るJR東日本の「トランスイート四季島」も登場。ななつ星は周遊型の豪華寝台列車「クルーズトレイン」の日本での先駆けとなった。

 旅は1泊2日と3泊4日のコースがあり、季節ごとに内容が変わる。停車駅から専用バスで観光地を巡り、コースによってはレストランでの食事や高級旅館での宿泊も付く。22年春のコース(2人1室利用)は1泊2日で1人約40万~約58万円、3泊4日で83万~107万円。毎回、定員の数倍の申し込みがあり抽選となっている。9年間で約1万7000人が乗車し、そのうち約9割は国内客が占める。中には11回も乗車した人がいるなどリピーターの獲得にも成功している。

客室減らし、茶室や交流サロンを新設

 今回の改装は、客室を14室から10室に減らし、2号車には畳敷きの茶室と、ソファを向かい合わせた交流サロンを新設。3号車には4席限定のバーラウンジを設けた。リニューアル後の1泊2日コースは2人1室利用で1人65万~90万円、3泊4日(霧島コース)は125万~170万円と従来の5~6割増しとなる。2人1室利用の料金を比べると、「四季島」の3泊4日コース(23年春、80万~100万円)や「瑞風」の2泊3日コース(同、63万~137万円)より高額だ。

 運行開始から10年目を迎え、なぜ高額化に踏みきったのか。…

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