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ウクライナ侵攻

ロシア軍がウクライナに侵攻。米欧や日本は対露制裁を決めるなど対立が先鋭化しています。

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バイデン氏のジレンマ ロシアの弱体化で高まる核使用の恐れ

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ロシア本土とクリミア半島を結ぶクリミア大橋から広がる炎と黒煙=2022年10月8日、AP
ロシア本土とクリミア半島を結ぶクリミア大橋から広がる炎と黒煙=2022年10月8日、AP

 ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領は度々、核の脅威をちらつかせてきた。クリミア大橋の爆発、ウクライナ軍の東部での反転攻勢が報道されるなど、情勢が緊迫する中、ロシアが核のカードを切るかどうかが注目されている。米国や東アジアの安全保障に詳しい小谷哲男・明海大教授に聞いた。【聞き手・大野友嘉子】

核でロシアの戦況は好転するのか?

 ――プーチン氏は9月末にウクライナ4州の一方的な併合を宣言した際、「わが国は多様な破壊兵器を保有している。領土保全が脅かされれば、あらゆる手段を講じる」と強い言葉で核使用について言及しました。核兵器の使用は現実味を帯びてきたのでしょうか。

 ◆核使用の可能性は排除できませんが、その可能性はまだ低いと思います。米国と北大西洋条約機構(NATO)の抑止が利いているためです。

 プーチン氏は、核を使用することのメリットよりもデメリットの方が大きいと判断しているのだと思います。デメリットとは、戦術核を使ったとしても、戦況を大きく好転させることは期待できず、一方でウクライナは抵抗をやめないだろうし、欧米は武器供与を続けるだろうという点です。むしろ、国際社会からの非難が一層強くなり、ウクライナへの支援が強化される公算があります。

クリミア大橋の爆発では…

 ――最近はどうでしょうか。夏以降、ウクライナ軍の反転攻勢が報じられ、プーチン氏は9月下旬には部分的動員令を出しました。さらに10月8日にはクリミアとロシアを結ぶ「クリミア大橋」で爆発が起きました。プーチン氏は「ウクライナの特務機関によるテロ」との見解を示しています。

 ◆クリミア大橋の爆発で核使用の懸念が高まったことは確かです。

 しかし、ロシアは報復としてミサイルによる全土攻撃をしました。多くの市民が犠牲になったことはとても嘆かわしいですが、プーチン氏はここでも核のオプションを選びませんでした。

 プーチン氏が核を使用するとしたら、ウクライナの反転攻撃が続き、編入を宣言した4州まで奪還された場合でしょうか。プーチン氏が負けを認めるか、一か八かで核を使うか…。

 ウクライナの善戦は当初からジレンマでした。ウクライナが頑張れば頑張るほど、プーチン氏が追い込まれて核のボタンを押す可能性が高まるからです。

アメリカは非公式に警告か

 ――米国の対応について教えてください。バイデン米大統領は6日、「事態がこのまま推移すれば、キューバ危機以来初めて核兵器が使用されるという脅威に直面する」との懸念を示しました。

 ◆もともとバイデン政権の対露政策は、核大国の米国とロシアが軍備管理やサイバー攻撃に関する対話を通じて「安定し予測可能な」関係を構築するというものでした。しかし、ウクライナへの侵攻後は、隣国に侵攻できないほどのロシアの弱体化が(政策の)柱になっています。

 一方、ロシアの弱体化は…

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【ウクライナ侵攻】

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