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当事者が自分の経験や思いを語る言葉には大きな力があります。時には社会に染みついた先入観や偏見を吹き飛ばしてしまうことも。今月3日、若年性認知症のさとうみきさん(47)ら認知症の当事者4人と、約60人の小学生が対面して語り合いました。子どもたちの認知症に対するイメージはどう変わったでしょうか。【東京社会部・銭場裕司】
「私は47歳になったばかりです。みんなのお母さんや大切な人が私と同じぐらいの年齢で認知症って診断を受けたら、どう思いますか?」。さとうさんがそう問いかけると、子どもたちから「ショック」「嫌だ」との声が上がる。それまでの日常がなくなっちゃう、といった感想も出た。さとうさんは「みんなの正直な気持ちだと思います」と引き取り、自分の経験を語り始めた……。
子どもたちと一緒に駄菓子屋も
この日、認知症のある本人と語り合う会が開かれたのは東京都八王子市の市立緑が丘小学校。6年生の児童が参加した。認知症について理解を深める機会はこれが3回目で、5年生の時に寸劇や絵本で学び、先月は当事者とともに駄菓子屋を開く体験もして交流している。
プログラムに協力しているのはデイサービス事業所「DAYS BLG!はちおうじ」だ。利用者を仲間と考えてメンバーと呼び、「働く」などそれぞれの思いの実現を目指す先進的な事業所として知られている。緑が丘小には、さとうさんや、首相経験者と同じ氏名で「総理」というあだ名で呼ばれている男性らが訪れた。
さとうさんは児童らに、43歳の時に認知症と診断を受けたことを伝えた。自分の人生は終わったという思い、家族に対する申し訳なさ、暗いトンネルの中にいるような落ち込み……診断後に感じた胸の内を隠すことなく語った。
「診断後もその人は変わらない」
転機になったのは、…
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