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「1票の格差」が最大3・03倍だった7月の参院選は違憲だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で、大阪高裁は14日、「違憲状態」とする判決を言い渡した。参院は今後、格差是正を強く求められることになる。だが、既に最高裁が2019年参院選について是正を求めたにもかかわらず、参院で具体的な選挙制度改革は進んでいない。小選挙区の格差を2倍未満に抑えようとしている衆院と比べても参院の改革が進まないのはなぜなのか。
最高裁、3.08倍まで縮小で「合憲」
参院選の1票の格差を巡り、最高裁は最大格差が5・00倍だった10年と4・77倍だった13年の各選挙で「違憲状態」としたが、16年選挙から「合区」が導入されて以降は3・08倍まで縮小したことで「合憲」の判断に転じた。3・00倍だった前回の19年選挙についても「合憲」としたが、1票の格差是正に向けた取り組みが進んでいないことを厳しく指摘していた。
岸田文雄首相は7日の参院本会議で、参院の選挙制度改革について「各党会派でご議論いただく事柄だ」と答弁し、立法府の議論に委ねる考えを示した。だが、最高裁の指摘後も参院では議論の先送りが繰り返され、具体的な進展をみせていない。
参院は21~22年に各会派で作る参院改革協議会(座長・世耕弘成自民党参院幹事長)を計13回開催し、選挙制度のあり方を議論した。協議会では主に、隣接県を一つの選挙区にする「合区」について検証した。合区は人口の少ない4県を「鳥取・島根」「徳島・高知」の組み合わせで統合するもので、1票の格差是正を目的に16年参院選から導入された。だが、県境をまたぐ選挙活動は候補者にとって難しいことや、地域代表を出せなくなる県からの反発が強く、投票率低下にもつながった。
協議会は6月、1年余りの協議結果を山東昭子議長(当時)に報告した。「合区」については「解消すべきだ」が多数意見だとする一方、具体的に1票の格差是正に向けてどう選挙制度を見直すべきかには踏み込まなかった。
党によって異なる選挙制度の利点
改革の…
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