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貸した金が返ってこない――貸金の返金を求める民事裁判で勝訴し、債権が確定しても借りた側が債務を踏み倒してしまう「逃げ得」。2020年4月に改正民事執行法が施行され、債務者が裁判所に出頭しないようなケースには刑事罰が設けられた。21年には全国で45の関連事件が起訴され、悪質な債務者の摘発が進むが貸金回収のハードルは今も高いという。「社会的な責任をとってほしい」。金を借りたまま、裁判所からの出頭命令を無視し続ける行為は許さないと、刑事告発に踏み切ったある債権者の思いを聞いた。
8月15日、滋賀県警が大津市のアルバイト女性(39)を民事執行法違反(陳述等拒絶)容疑で大津地検に書類送検した。具体的な容疑内容は3月22日に大津地裁からの財産開示手続の呼び出しに正当な理由なく出頭しなかったというものだ。
財産開示手続は債権者が債務者の財産状況を知るための手続きのことだ。金を貸した側の債権者が裁判所に申し立て、借りた側の債務者は裁判所の求めで財産状況を説明する。債務者は正当な理由なく出廷を拒んだり、虚偽の説明をしたりすると処罰される。
従来、この種の行為に刑事罰はなく「30万円以下の過料」という行政罰が設けられていたが、行政罰で前科にもならないため、呼び出しを無視して債務を踏み倒すケースが相次いで問題化。改正民事執行法施行で「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事罰が科されるようになった。
300万円戻ってこず提訴、勝訴も
民事裁判の確定判決や関係者によると、大津市の会社役員の男性(52)は14年10月、当時、同市内で飲食店を経営していた女性に家族の借金返済や滞納している税金の支払いのため300万円を貸した。…
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